
―正統的に?『ターミネーター2』
大昔の「2」は大ヒットの「1」の所詮二番煎じで決して「1」には決して及ばないとネガティブに言われていたものですが、「1」のヒットにより資金も集まり易くなり、やりたいことがやれるようになる、いいスタッフが集まる等の理由により、後で綴ります『ゴッドファーザーPARTⅡ』位から「1」を凌げる作品が現れるようになり、この『ターミネーター2』の頃には「2」の出来がいいのは当たり前のようになってきました。
実際、この「2」は「1」にあたる『ターミネーター』のエピソードを巧みに織り込んで、いい出来栄えになっていると思います。年寄りの昔話で古臭い上、短館系の映画ばかりを取り上げているとの声もありますので、今回はかなり無理をして?ハリウッドものにチャレンジしていますが、それでもかなり古い作品になってしまいました。そういえば、『エイリアン2』も、同じように『エイリアン』でのエピソードを逆手にとって活かしたりして、いい出来栄えになっているのではないかと思います。
『エイリアン』といえば、タワーレコード渋谷店にてギーガーの生涯に迫るドキュメンタリー映画『DARK STAR/H・R・ギーガーの世界』の公開を記念し、『H・R・ギーガー ポスター&アート展』が9/9~10/1の期間で開催されています。昔、プレステでギーガーがデザインしたキャラクターが出てくるゲームをやったことがありましたが、ゲーム自体の出来はさほど…でした。
―『ゴッドファーザーPARTⅡ』
(出典)ゴッドファーザー、ゴッドファーザーPARTⅡ,ゴッドファーザーⅢ[DVD] パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
※ 横並びにしてみたのには意味があります
『ゴッドファーザー』の時は、所詮マフィアの抗争劇を描いたハリウッド映画であろうと勝手に思い込み、大きな話題になっているのに観にも行きませんでした。そんな風に作品に対する知識が全く無かった『ゴッドファーザーPARTⅡ』を伯父が映画好きなら絶対に観ろとやたら勧めてくるのか不思議でした。それでも私があまりにも無反応であったためか、その伯父は贅沢にも従兄弟の分と併せて指定席券をプレゼントしてくれました。
贅沢にも指定席で『ゴッドファーザーPARTⅡ』を観て合点しました。「ファミリー」が主題であったからか、伯父はこういった「ファミリー」ものが本当に好きなのだな~と実感致しました。ドン・ヴィトー・コルレオーネの若い頃と、息子マイケルがその父を追いかけるかのような姿を平行させながら描く形式は、森美の「ディン・Q・レ展」でシーン父子の『地獄の黙示録』と『ブラトーン』とを父と子の通過儀礼として平行画面で見せる作品を観た時に、これは映画『ゴッドファーザーPARTⅡ』から少なからぬ影響を受けているなと思わせるものでした。
一緒に観ていた聡明な従兄弟は、後にゴッドファーザーとなる少年が入国時審査で答えられないのを聴覚障害のせいだと思っていた私に、イタリア語しか判らないから英語での質問の意味が理解出来ないんだと小声で(指定席の二階はがらがらでした)教えてくれました。ここが判らないと、ドン・ヴィトー・コルレオーネとの名前の伏線がよく理解出来ないところだったので助かりました。
―故ニーノ・ロータの復権を願うリッカルド・ムーティー
『ゴッドファーザー』の「愛のテーマ」程には大ヒットはしませんでしたが、『ゴッドファーザーPARTⅡ』でのニーノ・ロータの音楽も味わい深く美しいものです。残念ながら『ゴッドファーザーPARTⅢ』の時にはもうそのロータが亡くなっていたので、フランシス・フォード・コッポラはシチリアを舞台としたヴェリズモオペラ(神話や歴史をテーマにしたオペラではなく日常のリアルな出来事をテーマとするオペラで、『道化師』等が代表的な作品です。)『カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎風騎士道の意)』を使用し、在パレルモのオペラハウス、マッシモ劇場を登場させています。私的には、この映画で『カヴァレリア・ルスティカーナ』が好きになったので、なんとか成功しているのではないかと思います。
しかし、フェデリコ・フェリーニに関しては、ロータの音楽がつかなくなってからは急にぽしゃってしまったように感じられます。名指揮者リッカルド・ムーティーがロータの弟子筋にあたり、師ロータのクラシック音楽作品の録音を盛んに行なったりして、師の復権に務めています。(作曲家にとって、映画音楽畑で活躍したというのはポジティブな経歴にならない傾向があるようです。)
次回は「ファミリー」をロンドとしてピエトロ・ジェルミ監督・主演の『鉄道員』です。やはり一段と古い作品が出てきてしまいました…