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ネコのアート「ニャート」を探して(2)~ナビ派のキュートな面々~

ネコのアート「ニャート」を探して(2)~ナビ派のキュートな面々~

話題の展覧会のポスターにネコが!

朝倉彫塑館で、リアリティあふれる塑像のネコたちに出会った前回。今回は絵画の「ニャート」を見つけに、丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「オルセーのナビ派展:美の預言者たち-ささやきとざわめき」へ足を運んだ。

この展覧会、ポスターやチケットなどのメインビジュアルにしっかりネコが登場しているのだ。作品は、ピエール・ボナールの『格子柄のブラウス』。食事中の女性が、白黒の一匹を脇に抱えている。

このネコも、ナビ派の一員・・・?

ナビ派は、19世紀末のパリで前衛的な活動を行った若き芸術家のグループ。ゴーギャンから影響を受け、自らを「ナビ(預言者)」と呼んで、新たな表現を模索したという。

そう聞くとギラギラした集団を想像してしまうけれど、明るく穏やかな雰囲気の『格子柄のブラウス』を見れば、印象が変わる。そしてこの展覧会の、「はじめまして、ナビ派です。」というちょっと奥ゆかしいキャッチフレーズ。実はこのネコのセリフだったりして・・・と想像してみると、なんだかおかしい。

色あざやかな世界の中でのんびり

今回最初に出会ったネコは、ピエール・ボナールの4枚からなる連作『庭の女性たち』の2枚目、その名も『猫と座る女性』という作品の中にいた。

エメラルドグリーンの草に囲まれて腰掛ける、サーモンピンクのワンピースをまとった女性。そして、その足元にうずくまるネコ。もさもさした長いしっぽがSの字を描いている。女性の髪とネコの身体は黒に茶を重ねたほぼ同じ色で塗られており、それがふたりの親密な関係を表しているようにも感じられる。

連作『庭の女性たち』は、掛け軸風の縦長の画面、木版画のようなタッチ、『見返り美人図』を思わせる女性のポーズなどが印象的で、「日本かぶれ」と言われたボナールらしい作品。洋服のカラフルな色使いや凝った模様、草花との調和、変化のある構成などが楽しくて、ずっと眺めていたいほどだった。

いつの時代も、好奇心と食欲は旺盛

続いては、最初にもご紹介した『格子柄のブラウス』。この女性はボナールの妹だそう。ネコを抱えながらフォークを使って食事をしている様がごく自然で、私から見れば、まさにネコとの暮らしの上級者!お腹側が白く背中側が黒っぽいこのネコ、身体を押さえられながらも、隙を突いて前足をのばしかけている様が可愛らしい。

続いての作品は、『猫と女性』。『格子柄のブラウス』と同様に、食卓についた女性とネコを描いた作品だが、こちらはボナールの妻だという。女性の傍らからテーブルの上に身を乗り出したネコは、真っ白い毛とすっとした立ち姿がどことなく高貴な印象だ。そして女性の前には、おそらく魚料理が載った皿。このネコも、今にもひょいっと前足をのばしそう。ネコとの食事は、いつでも少しスリリングなのかもしれない。

オルセーのナビ派展のポストカード

展覧会のポストカード
(上『庭の女性たち』 
下『猫と女性』)

そしてもう1点、庭で思い思いにくつろぐ家族の姿を描いた『ブルジョワ家庭の午後』の中にも、ネコが登場している。右下に描かれているネコの姿はごく小さいのに、ででーんとした貫禄。よくよく見るとお腹の部分に子ネコがいて、お乳を飲んでいるようだ。どこか達観したような表情には、母ネコならではの強さが表れているのかも。

幸せな日常のそばにいたネコたち

ピエール・ボナールの作品に描かれたネコたち。ぺったりとした平面的なタッチの中に封じ込めたような独特の存在感があった。きっとそれぞれに名前が付けられ、人のそばで毎日遊んだり眠ったりしていたのだろう。時間と国を越えて今こうして彼らの姿を目にすることができるのは、考えてみると不思議な気がする。

古今東西を通じてさまざまな人に愛されている、さまざまなネコ。次回はどんな「ニャート」に出会えるだろうか。

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この記事のライター

aloreライターノムラシマ
ネコと銭湯と焼肉をこよなく愛するコピーライター。
現代アートが好きで、美術館のほか芸術祭にもときどき出没。ひとり暮らし歴約15年。
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