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今注目の若手映画監督の作品を観に行こう!第10回ちば映画祭

今注目の若手映画監督の作品を観に行こう!第10回ちば映画祭

−−−この家には、二つの時間が流れている。
一つの家のなかで同時に進む、全く別々の二つの物語。
父が失踪し、母と二人で暮らす中学生のセリ。最近、母に恋人ができたらしい。
気がついたらフェリーに乗っていた、記憶喪失の女性さな。偶然出会った透子の家に身を寄せることになる。
「同じ家」で暮らしながら、彼女たちの世界は交わることなく、物語は進んでゆく−−−


最近の映画の話題作といえば、「カメ止め」ブームを起こした上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
若手映画監督の活躍が注目される中、「映画にはそこまで興味はないんだけど…」というアートファンにもぜひ知っていただきたい映画があります。
国内外で評価される平成生まれの女性監督、清原惟さんの『わたしたちの家』です。

世界が魅了された『わたしたちの家』

清原惟監督作品『わたしたちの家』
清原惟監督作品『わたしたちの家』

一軒の日本家屋を舞台に、謎めいた二つの物語が交錯しながら進んでいくという、斬新な構成を持つ『わたしたちの家』。清原監督の東京藝術大学大学院修了制作作品にして、劇場デビュー作となった本作は、PFFアワード(ぴあフィルムフェスティバル)のグランプリを獲得し、第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門への正式出品、さらに第21回上海国際映画祭「Asian New Talent Award」部門最優秀アジア新人監督賞を受賞。今、世界が注目する映画作品です。

さなと透子の会話の向こうで、セリと母の会話が微かに聞こえる。
複数の世界が平等に存在し、違う世界を生きる彼女たちは、たとえ向かい合っていてもお互いの姿を認知することはない。
特徴的な造りの家が、ひっそりと彼女たちをつないでいる。
思春期の少女の話であり、大人の女性の友愛の話であり、ユニークな建築映画ともいえる『わたしたちの家』は見た人の数だけ解釈が生まれる、アート好きにはたまらない魅力を放っています。

……しかしこの『わたしたちの家』、現在上映している映画館は非常に少なく、レンタルして見る事も出来ず、そうそう簡単にはお目にかかることはできません。

と・こ・ろ・が・!

実は今年2019年3月31日、千葉で上映されるんです!

朝から晩まで映画漬けちば映画祭

3月29日(金)から31日(日)まで、これからの活躍が期待される若手映画監督の作品をメインに上映する「ちば映画祭」が千葉市で開催されます。

今年の「ちば映画祭」では、清原監督作品の持つ“おとめ心・あそび心”に着目し、特集上映を行います。両日とも、上映後は、清原惟監督と武蔵野美術大学在学中の清原監督作品に出演されその後の作品もスタッフとして参加されている青木悠里さん、東京藝術大学大学院の同期である映画監督の竹内里紗さんをむかえトークを実施。また、「ちば映画祭×千葉アートネットワーク・プロジェクト(WiCAN)コラボ企画」として、清原監督・大河原恵監督(第9回映画祭特集監督)・神野真吾千葉大学准教授のトークも行われ、清原監督を知る絶好の機会となっています。

明日、青木さんが火星に行く。彼女のもとに、友人たちが次々と別れの挨拶にやってくる『火星の日』(30日上映)
明日、青木さんが火星に行く。彼女のもとに、友人たちが次々と別れの挨拶にやってくる『火星の日』(30日上映)
女は男に尾けられている。屋久島が舞台のショートムービー『波』(30日上映)
女は男に尾けられている。屋久島が舞台のショートムービー『波』(30日上映)
団地の迷宮を彷徨う少女は自分の音楽を見つけられるか。藝大在学中の制作作品にしてPPFアワード2015入選作『ひとつのバガテル』(30日上映)
団地の迷宮を彷徨う少女は自分の音楽を見つけられるか。武蔵野美術大学在学中の制作作品にしてPPFアワード2015入選作『ひとつのバガテル』(30日上映)
河原で見つけたビニールハウス。ここに住んでる「誰か」のことを想像していると、浮かび上がるほのかな謎『網目をとおる すんでいる』(31日上映)
河原で見つけた蚊帳。ここに住んでる「誰か」のことを想像していると、浮かび上がるほのかな謎『網目をとおる すんでいる』(31日上映)

 

また、3月29日の前夜祭には、千葉県で活躍するアマチュア作家の作品や、千葉とゆかりのある作品を上映。さらに、サブカル界の帝王・杉作J太郎が監督を務めた『チョコレートデリンジャー』の上映も行われます。

『チョコレートデリンジャー』 ©︎吾妻ひでお・男の墓場プロダクション
吾妻ひでおのギャグ漫画を映画化。編集に編集を重ねた最新バージョン『チョコレートデリンジャー』©︎吾妻ひでお・男の墓場プロダクション

 

30・31日は各回上映後に監督や出演者などのゲストトークも行われ、作品や監督の魅力をさらに味わうことができます。お気に入りの監督を見つけて、今後の作品を追いかけていくのも楽しいと思います。
ここでは上映作品の一部をご紹介いたします。

傑作ラブコメ! まつむらしんご監督『恋とさよならとハワイ』©︎2017lppo(30日上映)
傑作ラブコメ! まつむらしんご監督『恋とさよならとハワイ』©︎2017lppo(30日上映)
15歳。おもちゃの銃。ズドン! 松本花奈監督『僕もあの子も』(30日上映)
15歳。おもちゃの銃。ズドン! 松本花奈監督『僕もあの子も』(30日上映)
橋の上から身を投げるも、生還した高校生の澄子。数ヶ月ぶりに学校へ戻ってきた澄子は、密かに教師と交際している幼馴染の男子生徒、秀明を脅迫し始める。主演の福永朱梨さんは映画祭のMVにも出演 中川奈月監督『彼女はひとり』(31日上映) ©︎彼女はひとり
橋の上から身を投げるも、生還した高校生の澄子。数ヶ月ぶりに学校へ戻ってきた澄子は、密かに教師と交際している幼馴染の男子生徒、秀明を脅迫し始める。主演の福永朱梨さんは映画祭のMVにも出演 中川奈月監督『彼女はひとり』(31日上映) ©︎彼女はひとり
恋をしたらしい兄モトハル。妹のマチコにはモトハルが3人に見えるようになってしまい… 松村正浩監督『兄兄兄妹』(31日上映)
ある日妹のマチコには兄モトハルが3人に見えるようになってしまい… 松村正浩監督『兄兄兄妹』(31日上映)

映画祭オリジナルグッズの販売や、地元のお店による出店、WiCAN提供のカフェ屋台などもあり1日中楽しむことができます(個人的には映画祭公式キャラクター「ちば日菜津」のグッズが欲しいです)。

今年で10回目を迎える「ちば映画祭」は公募ではなく、実行委員が上映に出向いて実際に作品を観てから監督にオファーを出すというスタイル。「面白い映画をみんなに届けたい!」という想いがあふれるお祭りです。
「ちば映画祭」で勢いのある若手監督たちの作品と出会い、映画への情熱に触れれば、自分が忘れかけていた「理屈はどうでもいいからとにかくコレがやりたいんだ!」という初期衝動を思い出す……かも。

MV監督:大河原恵

第10回ちば映画祭 
ただいま〜地味目な地方都市より、若手映画監督へ愛をこめて〜
会期:3月29日(金/前夜祭)〜31日(日)
会場:千葉市生涯学習センター ホール(千葉市中央区弁天3−7−7)
JR千葉駅「千葉公園口」または千葉都市モノレール千葉駅から徒歩8分
全席自由・各プログラム入替制
※チケット情報やその他上映作品、タイムスケジュールについて詳しくは公式HPをご覧ください。
公式サイト:http://www.chibaeigasai.net

 

この記事のライター

aloreライター橘高あや
千葉県在住。アートエバンジェリスト。美術検定2級。楽しい美術鑑賞の伝道師を目指して精進中。
得意分野は浮世絵と宗教画。絵画から物語を読み解くことが好き。
趣味は読書と料理、御朱印集め。
好きな言葉は温故知新と不易流行。古きものも新しきものも、一時の流行からも学び取り面白がれる人間が理想。
アートは心を、人生を豊かにしてくれます。作品との対話は自分との対話。思いもつかないような多種多様な表現と出会い、それに対する自身の反応から、自分に対する新たな発見を得ることができます。異なる価値観を知り理解することは、他人への理解や許容につながります。アートと付き合っていると、自分にも人にも優しくなれる気がするのです。閉塞感に苛まれる現代社会をアートの力で変えていけたら。そんな思いでおります。
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