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小雪舞う銀座ギャラリー巡りフルコース仕立て

小雪舞う銀座ギャラリー巡りフルコース仕立て

「晴れ男」に訪れた想定外の雪模様…

小雪舞う、三連休初日の2月9日に銀座の主要ギャラリーの中から、かなり欲張って10軒程のギャラリーを一日で駆け巡るツアーを実施致しました。午後の部のメインイベントとして解説をお願いしていた某画廊からは、「降雪予報がでているのでお客様の転倒を避けるために休廊とします。イベントは暖かくなってからやり直しては如何でしょうか?」とのメールを前日に戴いた上、時節柄、体調を崩していらっしゃれないという参加予定者も急に出てきてしまい開催を躊躇しました。しかし、ランチ予約時に贅沢な注文を付けてしまっていることですし、各ギャラリーの企画が見事に粒揃いの状態でしたので、ここは勝負するしかないと、思い切ってツアー強行をしました。

寒さなんかどんと来い!ミートテック効果抜群?の「午前の部」

先ずは11時のポーラミュージアムアネックス「イイノナホ展」よりスタートです。雪で肌寒いという天候のせいか完全貸切状態となりました。いつもとは趣が異なった、箱根と錯覚するような一段と雰囲気のよい空間に一同酔いしれました。これは悪天候が幸いして、他のギャラリーもすいているかもとの期待がもてます。

二番手のギャラリー小柳では、杉本博司がデザインした洗練された空間に展開されていた「ソフィ・カル Parce Que展」です。お気の毒に、一人でじっくりとソフィ・カル作品と向き合っていた若い男性が我々団体パワーに圧倒されたのか、すぐに退出されてしまいました。申し訳ないことです。このツアーを裏メニューとして、人数を抑えている理由の一つはこんなところにもあります。

続いては、「美祭」、渡辺省亭の復権、鏑木清方「お菊さん」の百年振りの発見等でお馴染みの加島美術へ向かいます。普段は二階も開廊していますが、この日は一階のみの開廊でした。それでも若冲、芦雪、白隠、暁斎等がアクリル板なしに顔を近づけてじっくりと観ることができるわけですから、太っ腹の画廊です。3月末の「back to the 江戸絵画 」にも一段と期待が高まります。

次のLIXILギャラリーは冷え込んだ一日のトイレタイムに充てました。私は銀座ギャラリー巡り時のトイレ休憩はここでと普段から決めこんでます。どなたも同じことを考えるのか、最近は塞がっていることが多くなりましたが、この日は空いていました。因みにミートテックを着込んでいる私「冬でも汗だくオヤジ」にとっては、この位の寒さは「どんと来い」ではありましたが… おっと、展示も面白かったことを書き忘れてました。

当日の奥野ビル外観

ここで間奏曲としてふらりと奥野ビルに立寄りました。かっての同潤会アパートばりのレトロ感満載で、小型エレベーターは手動式です。3人づつに分かれて先ずは最上階を目指し、各階を思い思いに覘きながら階段で一階まで下りてきました。特定画廊にロックオンしないでの立ち寄りでしたが、ここは想定を遙かに上回る好評ぶりで、間奏曲が抜群の響きを放ったわけです。

「午前の部」の締めはシャネル・ネクサスホールでの「INSULA LUX 光の島 アントニ タウレ展」です。前回「ジャン=ポール・グード展」の時とは違って、今回はドアマンのいる入口より、シャネルロゴマーク釦のエレベーターを使って展示会場に入ります。一週間前の下見時は結構混んでいましたが、随分とすいていたので、ラビリンスを意識したであろう展示空間を活かした写真が観客を入れないできれいに撮れたと喜ぶ参加者が複数いました。ただ、どうしてここにはいつまでたっても「傘立て」が設置されないのかが不思議で、特に絵画展示時には強く感じます。

仰天のランチタイム

二時間に亘る充実の午前の部を終え、お腹をすっかりすかせた一同は13時にランチ会場BAR DEL SOLEへ足早に向かいます。

「フルコース」は銀座の主要な画廊を巡りまくるという意味で料理のことではありませんと、2/2のカンファランス時に申し上げましたが、「この料金でこんなに~」という程の仰天フルコース仕立てにしてくれました。事前に絶品のジェラートとカフェは必ず入れて下さいとお願いしていたのですが、アルコールサービスに始まり、前菜盛り合わせ、プリモピアットは二種のパスタから選べ、メインも鶏と太刀魚からの選択となりました。締めはケーキとジェラートにエスプレッソ、マッキャート、カプチーノからの選択です。

器の大きいカプチーノを選んだ方には、バリスタである店長が、凝りに凝った「ラテアート」をひとりひとりのキャラに応じて描き分けて下さり、その作成現場をじっくりと覗きこまれる参加者もいました。比較的すいていたことにも助けられたのかもしれませんが、この値段でここまで大判振舞をして戴けるとは驚きでした。こんなことも裏メニューの醍醐味かもしれません。実はBAR全店の販促を手掛けるスタッフさんが、毎回、自腹を切ってこのツアーに参加者として加わって下さっているのです。

一人抜け、二人抜けても、逆に腹は膨れるばかりの「午後の部」

「午後の部」は自由度を高め、いつでも抜けて可というスタイルをとりました。ギャラリーためなが(常設展でも凄いラインナップで、おまけにカーペットは身が沈みそうな位ふかふかです。)⇒Gsixアールグロリュー(「草間弥生と現代アート展」ハースト、ウォーホル、村上隆、奈良美智等も並んでました)、同蔦屋アートアトリウム(「名和晃平ルーヴル・ピラミッド展」、山口晃の親鸞本出版記念原画も傍らで展示されてました)、資生堂ギャラリー(「福原信三の美学」)、メゾンエルメス・フォーラム「ピアニスト 向井山朋子展」(ここは時間が限定されていることもあり大賑わいで、AE新井さんもいらっしゃってました。大ファンだそうですので、新井さんのレポートが楽しみです。)というコースでした。流石に豪華ランチで満腹している上に、これだけのアートを詰めこんだらお腹は文字通りパンパンになりました。(元からです(笑))

大成功の要因は我らが三沢先生のお言葉から

「聖夜のギャラリー巡り」時のピスタチオ/トリュフチョコレートのクリスマスジェラートケーキ、横のグラスはランブルスコ

元々は「ドアマンのいる企業系ギャラリーには一人では入りづらいでしょうから皆で入りましょうか」という軽いノリで始めたツアーでしたが、BAR DEL SOLEでの食事がいつも美味しいせいかリピートして下さる方ばかりで、もはや気心の知れた同士で和気あいあいと廻れ、大変楽しい一日でした。そもそも本企画は、三沢先生が前回12/25夜の際に「夜だと参加出来ない方もいるから、昼にも企画してみては?」とのご助言を下さったことがトリガーでした。またツアー開催を逡巡していた前夜の私に、このコースなら「ギャラリー小柳」でのソフィ・カルも加えてみては?との貴重な情報メールで、背中をど~んと押して下さいました。知性派揃いの女性参加者にとって、このソフィ・カルが一番人気でしたので、三沢先生には大感謝です。

平日夜のツアーでは、比較的遅くまで開いている企業系ギャラリーでも閉まる時間を気にしながら回らなければならないのですが、昼間であれば、時間に余裕をもって、予定になかったギャラリーやケーキ屋の大行列なんかをこれは何?とふらりと覗いたりする楽しみもあります。今回も裏道で銭湯やかの「銀座・ルパン」なんかを思いがけず見つけたりできました。

参加者の感想は「アート通になった気分が味わえた」「へたな美術館巡りより遙かに楽しかった」「銀座には何十年も通い詰めているけど、こんなスポットがあったなんて知らなかった」「ギャラリーも良かったが、何よりもラテアートに感動した」等好評なものばかりでしたので、昼間にもまた開催したいなと思う次第です。

この記事のライター

aloreライター春山博美
2008年に美術検定1級合格、2009年東京都美術館で開催された『美術館名品展』にてアートナビケーターとして初ボランティア参加。
その後、美術アカデミー&スクールが主催するART LABO等で研鑚を積みつつ、2015年に初代アート・エバンジェリスト認証を取得。週末は冬でも汗だくで専ら美術館・画廊を巡っている。
ガイド歴はDIC川村記念美術館、朝倉彫塑館等の個性ある美術館を好み、また「アトリエ巡り」として新宿落合地区での中村彝、佐伯祐三の西洋画アトリエ、川端龍子記念館での日本画アトリエ等の紹介を得意とする。
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