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多くの方々に助けられて開催に漕ぎつけた「从展」イベント

多くの方々に助けられて開催に漕ぎつけた「从展」イベント

前置き

長年温めていた企画「从展ツアー」を実施致しました。そもそも「从展」って何?どう読むの?と思われる方は沢山いらっしゃると思います。「画壇の風雲児」と呼ばれた中村正義が若くして癌で亡くなる前に「東京展」と共に立ち上げたアンチ日展の在野グループ展で、名のある師についてキャリアを重ねればという日本画壇のタテ慣習に異を唱える思いで、「人」をヨコに並べて「ひとひと」と名付けました。

長年温めていた企画と冒頭に記しましたが、イベントを実行に移す段階でその内容はかなり変容を遂げていきました。その経緯はを2月度記事をご覧下さい。今回は、アートイベントを計画される読者各位にとって一つでもご参考になるところがあればとの気持ちで、ど素人が何とかイベント開催まで漕ぎつけた成果と反省点について綴らさせて戴きます。

1.何といっても展覧会のクォリティーの高さ

図録やポスターにも使われた井上洋介『櫻下傘踊り図』 生涯、飢えと行列をテーマに制作

ツアーのコース概要は東京都美術館にて「第43回从展」ギャラリートーク+自由鑑賞後、桜が満開の不忍池を横断し、湯島の画廊羽黒洞で「小さな从展」ギャラリートーク+自由鑑賞というものでした。いくら頑張ってみたとろで、肝心の展覧会が面白くなくては始まりません。毎年、鑑賞している「从展」ですが、人物画や風景画が中心の他のグループ展や公募展とは違い、出展作家毎に1スペースが与えられ、個性溢れる作品がずらりと並ぶ面白い展覧会なのです。今回の第43回も実に面白く、イベント前日に下見で会場を訪れた際にはわくわく感を覚え、翌日に控えた本番への期待が一段と高ってきました。

2.ご支援戴いた方々への感謝

「伝説の画商」木村東介のご令嬢やご令孫に思いっきり助けて戴いてイベント開催にまで漕ぎつけたのですが、審美眼は勿論のこと、人を見抜く眼力、面倒見の良さ、太っ腹なところ等は東介のDNAが一族に継承されていることをしみじみ感じました。ご令孫である不忍画廊荒井裕史社長に「从会」の亀井三千代先生をご紹介戴くところから始まったのですが、亀井先生には申し訳ない位、小職と「从会」の間をつなぎながらの事務調整やらイベントフライヤーの校正等にまで何かとご尽力を下さいました。イベント終了後、疲れてふらふらで荒井社長の処に御礼の報告に伺ったところ「亀井先生を紹介しておけば大丈夫だと思ってた」と笑って仰ってました。荒井社長にはキックオフ時メンバーでの打上げ会まで開催して戴きました。リップサービスもあったのかもしれませんが、先生方より意外と聞く機会のない他作家のギャラリートークが興味深く聞けて楽しかったとのお話も戴けました。

東介長女である羽黒洞木村品子社長によるイベント当日の締め括りトークショーは東介や正義のお話は勿論のこと、長谷川利行作品をリヤカーに抱えて疎開したお話やら、背の高く髪の毛の長い外国人(ジョン・レノン)がオノ・ヨーコに連れられてひょいと羽黒洞を訪れた時のこと等をノリノリでお話下さいました。品子社長のご令嬢泰子様は東介の頃からの所蔵品である利行作品や正義作品を惜しげもなく引っ張り出してきて参加者一堂に観せて下さった上、全員に東介の単行本『言い残したこと』までプレゼントして下さいました。ひたすら感謝する限りです。

 

ツアー運営側から「从会」郡司宏会長へのご挨拶は、なかなかタイミングが合わず当日になってしまったのですが、素人目には難解な作品とは裏腹に、気さくで優しいお人柄で、やさしいお言葉を当日何度もかけて戴き心強かったです。ギャラリートークをお願いした山﨑克己先生、亀井先生、内藤瑶子先生、箕輪千絵子先生からは作家先生ならではの画材・支持体やモチーフについてのお話を詳しく伺えました。先生方のフレンドリーな優しい語り口のおかげで、参加者からも質問がどんどんと出てきました。初っ端から山﨑先生解説による特別陳列「井上洋介」が圧倒的なインパクトで目に飛び込んできて参加者のど胆を抜いたのも、やはり亀井先生の仕掛けた演出でした。Brava!です。

3.そして、サプライズの極みが

な、なんとギャラリートークをお願いした前述の4人の先生方が前日に勢揃いして、参加者への「お礼カード」として素敵な寄書き(描き?)を作成して下さいました。ギャラリートークは貸し切りではないのでせっかくご参加戴いた方々への「特別感」が必要でしょうとの先生方からのご高配です。たしかに熱いギャラリートークにはこのイベント参加者外の観客の方々、「从会」の他の先生方、ギャラリートークをして戴く先生方のお友達やご親戚等が集まって黒山となりました。それは想定出来ていたので、参加者各位への配布図録に特典として各先生のサインをお願いしていたのですが、まさかここまでやって戴けるとはびっくり仰天、恐れ多いことでした。しかもレアなハガキセット等も同梱し、封印シールまで作成戴いた手提げ袋に「最新アート作品」を綺麗に梱包して手渡して下さったのです。これは額装ものです。

4.反省しつつも来年に向け野望は果てしなく?

東京都美術館の構造を無視して会場へのアクセスに難がある集合場所を設定してしまった等の反省点は今後改善していきますが、「从展」を観続けてファンとなっている先生、今回お話してみて作品やお人柄に改めて魅せられてしまった先生等、もっと多くの先生方のお話も俄然伺ってみたくなりました。土曜の午後の不忍池弁天堂付近の前日や当日午前の下見時とは打って変って立錐の余地もない程の混雑ぶり、かつ屋台が沢山出ていて肝心の利行碑は拝めませんでした。イベント終盤、羽黒洞でやっと着席してお茶を戴いた時には人混みの中の行軍直後だったせいか「お疲れ感」が漂ってましたので、時間配分、構成も含めて次回は工夫したいと思います。

既存フライヤー、自己作成の説明資料等私の配布物は、いつもながらの私の悪い癖で、雑多な形のまま参加者に手渡してしまいました。先生方のあまりにも魅惑的な手提げ袋に比べるまでもなく、恥ずかしいことです。「ART TRANSIT 2019」小冊子を先生方や画廊に事前配布した際は、その内容に大いにご関心を持って戴けたようでした。今回のイベントにご参加戴いた方々の半分位は元々の「从展」ファン等の非ART TRANSIT 会員であったので、資料と一緒に小冊子をポケット式ホルダーに整理して入れて配布すべきであったかなと反省しています。

また、不忍池横断時に参加者と話していて思いついたのですが、不忍池、下町風俗資料館、羽黒洞、旧岩崎邸、横山大観邸等を季節のいい時に巡る「池之端アートサプリウォーク」もありなのかなと思いました。

「从展」に話を戻しますと、出展作家毎に1スペースが与えられると前述致しましたが、そのスペースは毎年ほぼ固定されています。贔屓の劇団の清純派看板女優が今回の出し物では頑張って色っぽい役を演じているなと楽しむみたいに、「今年はこう来ましたか」とか「やはりこの路線はいいな、今年は一段と冴えているな」といった風に作家先生ごとに前年との比較をする楽しみもありますので、リピーターとして毎年ご覧戴くことを強くお勧めします。

羽黒洞にて木村品子社長と中村正義作品を囲んだ集合写真

この記事のライター

aloreライター春山博美
2008年に美術検定1級合格、2009年東京都美術館で開催された『美術館名品展』にてアートナビケーターとして初ボランティア参加。
その後、美術アカデミー&スクールが主催するART LABO等で研鑚を積みつつ、2015年に初代アート・エバンジェリスト認証を取得。週末は冬でも汗だくで専ら美術館・画廊を巡っている。
ガイド歴はDIC川村記念美術館、朝倉彫塑館等の個性ある美術館を好み、また「アトリエ巡り」として新宿落合地区での中村彝、佐伯祐三の西洋画アトリエ、川端龍子記念館での日本画アトリエ等の紹介を得意とする。
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