AE-Salon Webマガジン「alore(アローア)」

2019年11月の谷中巡りレポートを遅ればせながら…

2019年11月の谷中巡りレポートを遅ればせながら…

当日は隈研吾の山手線新駅工事絡みでJRの区間運休が行われたせいか、多数のキャンセルが発生してしまい、事務局を含めて総勢7名というこじんまりとしたツアーとなりましたが、逆に「こじんまり」とした人数を活かしたツアーにしていこうと気を取り直しました。

藝大キャンパス巡りから

集合場所の「藝大アートプラザ」には初めていらしたという方ばかりでしたので、集合時間まで内部を自由にご鑑賞戴き、当日のコースには日本美術院見学も含まれますので岡倉天心詣は基本で、先ずは藝大キャンパス内の平櫛田中による天心像に全員でご挨拶に赴きました。平櫛田中も思った程の認知度ではなかったので、当日偶然に開いていた平櫛田中記念室で田中コレクションも鑑賞しました。(田中コレクションよりも、出来れば田中自身の作品が鑑賞出来たらもっとラッキーでしたが…)

 

藝大キャンパス内に現存する最古の建物である「陳列館」等も含めて、今度藝大美術館を訪れた時は、他の施設も廻ってみようとの声も聞けました。身近なところに「アート」を発見して戴く、まさしくこうしたツアーを実施するメインの目的であり、嬉しい限りです。

定番も含めた谷中巡りの始まり

少人数の為、参加者それぞれの反応がつかめますので、当初のマニアックルートを若干緩和してベーシックな谷中ルートにも目を向けました。名菓「風土菓 桃林堂」前では中尾部長からナイスフォローを頂戴し雰囲気が一段と和み、初対面なのにサークル仲間同士のように打ち解けてきた参加者が関心を示されたカヤバ珈琲、愛玉子等の谷中定番コースの解説にも時間を取るように致しました。

旧吉田屋酒店の対面にある一年ほど前まで山口晃が使用していた画室は、台東区のNPO施設になっていました。事前に山口晃が所属するミヅマアートギャラリーから移転を教えて戴いていたのは大正解で、知らないで訪れていたら狼狽えるところでした。事前準備の大切さを改めて実感しましたが、反省点としては、ビックネーム山口晃は知っていて当然というのりで話を始めたら中尾部長から「山口晃って知ってますか?大河ドラマ『いだてん』のオープニング絵なんかを手掛けてますよ~」とブレーキがかかり、危ないところを救って戴きました。

「ペペ・ル・モコ」の対面にある「カフェ・デ・ザール」が乙女心を鷲掴みにしてしまったようで、女性陣が全員吸い寄せられていきました。私の谷中巡りは今回で終止符を打ちますが、谷中に行ってみようと思われる方はここを織込むと面白いかもしれません。

メインコースへ

やっと本来のコースの目玉の一つ「上野桜木あたり」へ向かいました。意図的に作られた風情かもしれませんが、やはりここではいつ訪れても和んだ懐かしい気持ちにさせられます。

「スカイ・ザ・バスハウス」の展示替期間中につき休廊は事前認識をしていましたので、前を通るだけにして、代わりに雰囲気のよさげなお寺の境内に入り込んだりもしました。

 

「日本美術院」内部への入館はガイドを務めました私もデビューでした。日本画鑑賞に相応しく天井から射す光が紙を通過させることによって優しい光に変えられています。今回は各作品が同じサイズで展示されていたので比較がしやすく、中尾部長より参加者に向けて「ベストワン作品をエントリーして下さい」という絶妙なフォローを戴きました。

当日一番の目玉「繪処アラン・ウエスト」へ!

本ツアー最大の目玉「繪処アラン・ウエスト」では、予想通り玄関口に外国人観光客が溢れ出ていました。約束時間の前でもありましたので、選択肢の多い谷中ツアーならではの時間調整を「ヒマラヤ杉」で行いながら、すくのを待ちました。

谷中名物ヒマラヤ杉

そんな満を持してのアランさんの処では時間たっぷりどころか、閉廊時間を過ぎてこちらが退廊準備に入ってからも、「時間なんか気にしなくていいですから」と素敵な笑顔を浮かべながら流暢な日本語でお話を続けて下さいました。

仏語を意識する日本人(私?)が韻を踏むことに拘ったりするように、料亭からの受注作品には商売繁盛の金運を示す「金色の雲」を、注文主の名前が翔太さんだと「太い松」を描き込んだりする等、アランさんが日本語に関心を持って気持ちよく遊んで下さっていることを伺い日本人として嬉しくなりました。最近のJR車内誌にアランさんの奈良訪問が特集されていて、一般的な日本人が読めないような古い宿帖への筆書による人名を即座に読み上げられたとの記事を目にしました。

他にも日本人ですら知らないような絵やモチーフにまつわる興味深い蘊蓄を教えて下さったり、白い団扇でご自身の作品に光をいろんな角度で当てて、見え方の違いを判り易く示して下さりました。同席されていたアランさんの奥様もご親切にアランさんと参加者全員の写真を撮って下さいました。有難いことです。

「繪処アラン・ウエスト」では季節に合ったアランさんご自身の素敵な作品に展示を入れ替えてますので、四季折々、上野谷中地区にいらっしゃったら覘かれることを是非ともお勧め致します。至福の空間が待っています。

ツアーの締め括り

計算しつくしたかのように肉球のど真ん中でしっかりポーズ!

折角なので、最寄の大名時計博物館の外観も眺めていたら、ちょうどいい感じで黄昏れてきました。三浦坂では「ねんねこ屋」の看板猫が愛想を振りまきながらポーズをつけていて、坂の真ん中での写真撮影の人だかりをしり目にゴールの根津駅方面に向かいました。

参加者のお一人が根津駅からお帰りになったので、残りの6人で因縁の(笑)隈研吾が明治時代の石蔵をリノベーションした「根津 釜竹」のオープンを30分前から沢尻エリカ様のニュース第一報を目にしながら待ちました。トップで並んだだけあって、建築構造が鑑賞出来る二階席(二階席の希望が多く、二階席から埋まっていきます)のど真ん中の一卓をしっかりキープ出来、ミシュラン ビブグルマンの釜揚げうどんを満喫致しました。

この記事のライター

aloreライター春山博美
2008年に美術検定1級合格、2009年東京都美術館で開催された『美術館名品展』にてアートナビケーターとして初ボランティア参加。
その後、美術アカデミー&スクールが主催するART LABO等で研鑚を積みつつ、2015年に初代アート・エバンジェリスト認証を取得。週末は冬でも汗だくで専ら美術館・画廊を巡っている。
ガイド歴はDIC川村記念美術館、朝倉彫塑館等の個性ある美術館を好み、また「アトリエ巡り」として新宿落合地区での中村彝、佐伯祐三の西洋画アトリエ、川端龍子記念館での日本画アトリエ等の紹介を得意とする。
Return Top
error: Content is protected !!