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ネコのアート「ニャート」を探して(5)~ネコがくつろぐ美術館~

ネコのアート「ニャート」を探して(5)~ネコがくつろぐ美術館~

ネコたちに会いに、ちょっと遠征

よく晴れた休日の朝、東京駅の地下ホームから銚子行きの特急「しおさい」に乗り込む。少々奮発して購入した牛タン弁当を食べつつ、電車に揺られること1時間半弱。

ネコのアート、名付けて「ニャート」。たくさんの「ニャート」に出会える展覧会が開かれていると聞き、今回降り立ったのは千葉県匝瑳市の八日市場駅だ。

駅からタクシーで向かう先は、松山庭園美術館。開館は金・土・日曜のみ、芸術家 此木三紅大(このき・みくお)氏のアトリエを公開した美術館だという。10分ほどで門の前に着くと、目の前にはあふれんばかりの木々の緑。趣ある和の佇まいで、美術館というよりお寺のような雰囲気だ。

松山庭園美術館
美術館の入口

受付でチケットを購入すると、係のお姉さんの肩越しに1匹目を発見。そう、この美術館では、作品だけでなく本物のネコにも出会えるのだ!

全国からすごい数の「ニャート」が集合!

今回こちらを訪れた目的は、今年で14回目を迎えるという「猫ねこ展覧会」。絵画、彫刻、写真、立体など、300点以上の作品が一堂に会している。本棟の各部屋、そして別棟にも、ネコ、ネコ、ネコ!プロ・アマ問わず出品できるそうで、ネコをテーマにしているアーティストは本当にたくさんいるのだなあ、と改めて思う。

絵画
作品がずらりと並ぶ

今年「庭園美術館賞」(グランプリ)を受賞したのは、松本正行さんのフィギュア作品。ポーズや毛並みは驚くほど精緻でありながら、ユーモアを持たせた見せ方が魅力的だ。さらに「あ、本当にこの瞬間があったんだな」と思わせる表情のリアルさがあり、見るたびにはっとさせられた。

松本正行さんの作品
松本正行さんの作品

そして個人的に特に惹かれたのは、坂田彩美さんの絵画だ。ネコの凜々しさと可愛さのバランスが絶妙で、ミントグリーンの色も爽やか。部屋に飾りたくなるような「ニャート」だった。

坂田彩美さんの作品
坂田彩美さんの作品

自然の中で、ネコも人ものんびり

松山庭園美術館には、作品ではない「本物」のネコがなんと13匹もいるとのこと。しかし気温が高かったこの日、ネコたちはお気に入りの場所で休んでいたのか、残念ながらときどきしか会うことができなかった。でも、部屋の柱の陰から、あるいは庭の茂みの中に、その愛らしい姿を見せてくれるたびに嬉しくなる。そして彼らが安心してのびのびと過ごしていることが伝わってきて、何だか幸せな気持ちになれるのだ。こちらに暮らすネコは保護猫が多いそうだが、とても大切にされているよう。

館内のネコたち
館内で思い思いに過ごすネコたち
茂みの中のネコ
こんなところにも

ネコに加えて、自然の豊かさもこの美術館の大きな魅力。緑に囲まれた庭園でのんびりお茶を楽しむこともできる。敷地内にはたくさんの石像が置かれ、メインの庭園周辺には此木氏作の「ガンダ彫刻」が数多く展示されている。「ガンダ」とはこのあたりの方言で鉄くずを意味するそう。動物や人をモチーフとした作品が多く、どこかユーモラスで親しみやすい雰囲気だ。

そして敷地内で個人的に気に入った場所が、広々とした田んぼを見渡せる離れ。窓も戸も開放されており、自由に休憩することができる。涼しい風が吹き抜けてとても居心地がよく、のんびりさせてもらった。

松山庭園美術館離れ
気持ちのいい離れ

小旅行を楽しめるニャートスポット

すっかり癒された帰り道、タクシーの運転手さんに感想を聞いてもらいつつ、「匝瑳市(そうさし)」という字の難しさなどについて語り合う。匝瑳市出身の有名人と言えば、地井武男さん。毎年お祭りに参加するなど地元を大切にされており、皆に親しまれていたそうだ。八日市場駅前の観光案内所には地井さんの写真や資料が展示され、ちょっとした記念館のようになっていた。

アートとネコと自然を一度に楽しめる、松山庭園美術館。東京からは少し距離があるが、出かけるなら時間を長くとってゆっくり過ごすことをおすすめしたい。「猫ねこ展覧会2017」は7月30日までの開催だが、現地で見せてもらった紅葉の写真も素晴らしかったので、気になる方は秋のお出かけにもぜひ!

この記事のライター

aloreライターノムラシマ
ネコと銭湯と焼肉をこよなく愛するコピーライター。
現代アートが好きで、美術館のほか芸術祭にもときどき出没。ひとり暮らし歴約15年。
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