AE-Salon Webマガジン「alore(アローア)」

初めて知った「絵本の楽しみ方」

ブラティスラヴァ世界絵本原画展 絵本の50年 これまでとこれから(平塚市美術館)

今回は、2017年7月8日(土)から8月27日(日)まで、平塚市美術館にて開催されている、「ブラティスラヴァ世界絵本原画展 絵本の50年 これまでとこれから」をご紹介する。

展覧会ホームページ

ミロコマチコ << オレときいろ>> 2015年 ©mirocomachiko

老若男女みんなが楽しめる展覧会

実は、私は幼少期に絵本を読んでもらった記憶がない。そんな人間がこの展覧会を紹介していいのだろうか?

そんな思いを抱きながら訪れた平塚市美術館では、たくさんの親子連れが、子供同士が、そして大人までもが作品に夢中になっていた。

「絵本原画の展覧会」に初めて足を踏み入れた私は、その光景に一瞬驚いたが、そんな驚きなどすぐに吹き飛んだ。いつの間にか、私も夢中になって楽しんでいたのだ。

赤羽末吉 <<スーホの白い馬>> 1969年 ちひろ美術館蔵 ©Suekichi AKABA

フィクションゆえの大きな楽しみ

当然だが、絵本に描かれているものは、すべてが「フィクション」である。

つまり、「作者が、自分の想像力をどれだけ読者と共有できるか?」が、絵本生命の根幹であると言っても、決して言い過ぎではあるまい。

しかし、他方で読者の側に立つと、「作者が何を伝えようとしているのか?」を探るような絵本の見方は、あまり健全であるとは思えない。

「フィクション」だからこそ、自分の想像力を存分に働かせることができ、しかも、その楽しみ方は、無限である。

片山健 <<タンゲくん>> 1995年 ©Ken KATAYAMA

展覧会の楽しみ方1~絵本原画を楽しむ~

展覧会の楽しみ方として、もっともオーソドックスなのが、これだろう。

展示されている絵本原画は、もちろん「絵画作品」として十分に楽しめる。

しかも、絵本には「分かりやすさ」が求められるから、作品の明暗や描かれている人物の表情やしぐさなどが、通常の絵画作品よりも、非常にインパクトがあるのだ。私には、鑑賞していて「理解不能」という作品は一つもなく、実に気楽に楽しめた。

酒井駒子 <<金曜日の砂糖ちゃん>> 2005年 ©Komako SAKAI

展覧会の楽しみ方2~絵本を楽しむ~

会場では、展示されている絵本原画作品が掲載されている「絵本」自体を楽しむこともできる。

「原画が、どのような場面で、どんな文章とともに挿入されているか」は、実際に絵本を読んでみないと分からない。この「原画と文章を同時に楽しめる」というのが、この展覧会の醍醐味でもあると思う。

また、絵本をよく見ると分かるのだが、原画と、実際に絵本に掲載されている絵とは、色合いが微妙に違うのである。「印刷によって、原画がどんな風に変化するのかを観察できる」のも、この展覧会ならではと言えるだろう。

100%ORANGE (及川賢治) <<スリスリとパッハ>> 2015年©Kenji OIKAWA

展覧会の楽しみ方3~時代変化を楽しむ~

これは、おそらく大人向けの楽しみ方である。

会場には、絵本原画が作成された当時の、主なイベントが年表形式で掲示されている。

もし、親子や大人同士で、この展覧会を訪れるのならば、作品が制作された時代の背景を知ると、「なぜ、この時代に、この作品が描かれたのか?」を話す、とてもよいきっかけとなるだろう。

樋勝朋巳 <<きょうはマラカスのひ>> 2015年©Tomomi HIKATSU

おしまいに

絵本原画と絵本とを同時に楽しめる機会は、そう多くはない。

もし、私のように「絵本なんて読んでもらったことないのに、楽しめるかなあ」と思った方がいたら、はっきり申し上げる。この展覧会、オススメである。

ひとりでも、親子でも、家族でも、学生同士でも、夫婦でも、楽しめること請け合い!

もちろん、私がここで挙げた以外の楽しみ方も、まだたくさんあると思う。ただしそれは、行ってみないと分からない。

松本大洋 <<かないくん>> 2015年 ©Taiyo MATSUMOTO

この記事のライター

aloreライターmilkhoppy
<出身>
仙台生まれの東京・川崎育ち。

<所有資格>
アートエバンジェリスト、美術検定2級、教員免許。
 
<意気込み>
「正確なインプットと分かりやすいアウトプット」を、常に心がけ、頑張りたいと思います。
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