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一度伝わったパリジェンヌの魅力は、今もつづく

一度伝わったパリジェンヌの魅力は、今もつづく

パリジェンヌ展を見に名古屋ボストン美術館に行きました。花の都・パリ。そこに生きる女性はパリジェンヌと呼ばれ、その生き方や装いは、多くの人々の憧れの的になっています。今回の展覧会では、18世紀から20世紀の絵画、ドレスや靴などのファッション、写真など約120点を通して、パリジェンヌの魅力を追っています。写真もない・テレビ番組もない・ファッション雑誌もない・インターネットもない・ケータイ情報もない…いったいこの時代ファッションの流行をどうやって伝えていたのでしょうか

18~20世紀初頭までのファッションの伝え方

この展覧会では、ファッションを伝えるツールとして、時代ごとにあげてあります。

18世紀…版画

代表される作品は『ギャルリー・デ・モード・エ・コスチューム・フランセ』です。
1778年から不定期に刊行が始まった版画集です。多くは6枚セットで販売され、最初は、髪型、のちにその他のファッションをテーマにするようになります。実際にパリの舞台で使われたドレスや最新の髪型に結ってもらっている女性の様子が描かれています。

19世紀…風刺画

定期刊行物が多く発行されました。その中で、ドーミエ(1808~1879年)やガヴァルニ(1804~1866年)といった風刺画家も活躍します。
ドーミエは流行のファッションや風俗を面白おかしく描いています。例えば、巨大なかご状の下着であるクリノリンによって大きく膨らんだスカートが流行した時には、スカートによって引き起こされるエピソードを風刺しました。
ガヴァルニは、モード画や男女の恋愛、カーニヴァルに興じる人々、たくましく生きる娼婦たちなどを風刺しました。

19世紀末~20世紀初頭…ポストカード

ヨーロッパやアメリカでは、19世紀末から多くのポストカードが発行されるようになり、それを送りあうこと、収集することがブームとなります。ポストカードのテーマには風景や舞台の広告など様々なものがとりあげられました。なかには街の様子とともに、そこで出会うかもしれないおしゃれな女性の姿が描かれているものもあります。

このように、伝えるツールは現代と違いますが、ファッションはその時代により人々の関心の的であることがわかります。作品を見ていると、館内から女子大生らしき子たちの「えっつ!本当にこの髪型できるの?」「このスカートの広がりは、1.5mぐらいかなぁ」「このポストカード可愛い!この洋服私着たいわ」という声がきこえました。こんな感じで、パリジェンヌたちもお話し、流行を取り入れていったのかもしれません。

18世紀~19世紀のパリジェンヌの装い

パリジェンヌのアイテム

  • その1、最新流行のドレス

ウォルトのデザインしたドレス写真これは、19世紀フランスのファッションの中心にいたシャルル・フレデリック・ウォルトの作品です。(実際の洋服が、展示してあります)
この服が当時最新流行のものにみえたのは、彼のデザインであり、色のおかげでもあります。このドレスの明るい紫は、当時ありませんでした。19世紀に開発された合成染料(注1)によって、この色をだすことができました。
(注1)合成染料とは、天然物によらず、有機合成化学の過程を経て製造される染料のこと。1856年に偶然にパーキンが発見した「パーキン・モーブ」が、世界最初。これ以後、数多くの合成染料が化学者たちによってつくられました。

  • その2、サテンのアンクルブーツ
    実際、アンクルブーツは必需品。それがチラリとみえるととても魅力的だったので「スカートを持ち上げる技術」というパンフレットが出版されるほどでした。
  • その3、手袋
    女性が人前に出るときには着けるものとされていた。
  • その4、シルクのスカーフ・ショール
    ただし、ショールは一般的には結婚しているか婚約していることを示しています。なぜならば、ショールはふつう彼女の求婚者によって贈られるものだからです。
  • その5、扇やたくさんの宝石
    そのほか、仕立ての良いコルセットもあります。
    展示の品々は、布地の質の良さが、見てわかります。

最後に
ファッションが、グローバル化した今も、人々は、無意識的に“フランス女性は優雅でシックでセンスがいい”と信じて疑わない印象を受けます。彼女たちには無造作で都会的な独特の上品さがあると私も思っています。本展では、ファッションのみならず、18世紀~19世紀のパリジェンヌの家庭における女性の役割にもふれています。それは、一見、視覚的で豪華な物を見にまとった文化に感じますが、精神的で堅実さを感じる当時のパリジェンヌを知ることができます。

この記事のライター

aloreライター片桐です
1964年生 既婚 愛知県一宮市住在 会社員
<好きなこと>
美術鑑賞/本、雑誌を読むこと/能のお稽古/着物を着ること/レトロな喫茶店に行くこと/テンションのあがる音楽/人の話を聞くこと/
<取得資格>
国際カラーデザイン協会 カラーデザインマスター/日本カラリスト協会 1級パーソナルカラーリスト/色彩診断士/東商カラーコーディネーター1級(環境色彩)/アートエバンジェリスト/日本色彩学会会員

アート&色。お手すきのときにお読みくださいね。
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