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ゴッホとゴーギャンは1886年より色の転機をむかえます

ゴッホとゴーギャンは1886年より色の転機をむかえます

4月、入学式、入社式と新しいことが始まり、ワクワクしますね。今月より、アート作品の色を中心にレポートしていきます。

今回は、愛知県美術館の「ゴッホとゴーギャン展」です。

ゴッホ・ゴーギャンってどんな人?

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)
1853年オランダ南部に生まれる。27歳の時、画家になることを決意する。パリで印象派、新印象派、日本の浮世絵の影響を受ける。1988年12月に精神障害による発作に襲われ、左耳を切り取る。1890年7月にピストル自殺を図り、没する。

ポール・ゴーギャン(1848~1903)
1848年フランスのパリに生まれる。1872年株式仲買人として働き始め、美術収集家や同僚の影響で、絵画への関心を高める。1883年34歳の時、画家になることを決意する。1891年タヒチへ赴き「タヒチの3人」などを制作する。1903年心臓発作により、没する 。

二人の関係は?

ゴッホとゴーギャンは、1886年パリで出会い、1888年に南仏の町アルルで、共同生活を始めます。家を借りる際ゴッホは、黄色の壁の家をえらびました。これは、当時ヨーロッパでは、黄色は日本で友情を象徴する色だと思われていたからです。しかし、芸術観や性格の違いから、共同生活は、わずか2カ月で破綻します。その後も手紙のやりとりは続きました。ふたりのアルルの生活は、うまくいきませんでしたが、二人の深い友情は、ゴッホの亡くなったあと、晩年のゴーギャンの作品に垣間見えます。

1886年~1887年は、二人の色が変わります。どんなことが、色の転機になっているのでしょう?
ゴッホの色の転機

ゴッホの3つの自画像A→B→Cを年代順にならべて、注目します。

A)「パイプをくわえた自画像」1886年9-11月
全体的に暗い色調です。
ゴッホは、他の印象派展・第2回アンデパンダン展をみて、自身が描いてきた暗い色調が時代遅れと気づきます。そこで、色彩理論を(注参照)熱狂的に信奉します。
B)「自画像」1887年4-6月
少し色調が、明るくなります。
顔にみられるようなやや細かい筆触や全体の色彩の配置には、新印象派の点描技法や色彩理論を参照した表現の影響がみられます。明るく多様な色彩を用いるパリにおいて、そうした理論をようやく自身の作品に生かすことなります。
C)「パイプと麦わら帽子の自画像」1887年9-10月
全体が、色の明度は高く、鮮やかです。
限られた色彩のみで描かれ、チューブ絵具から混色せずにそのまま用いられている色もみられます。パリでモンティセリ(1824-1886)の作品にふれたゴッホは、厚塗りといった表現方法、補色の対比を効果的に使った色彩に感銘をうけます。

(注)ミシェル=ウジェーヌ・シュブルール『色彩の同時対照の法則』/オグデン・ルード『近代色彩論 芸術および工業への応用』/シャルル・ブラン『デッサン諸芸術の文法』(パリ、1870年)これらの色彩理論

ゴッホは、1886年に暗い色調で、時代遅れであることに気づき、色彩理論を実践していることが、この3枚で、よくわかります。ゴッホの色の転機は、この頃の色彩理論です。その後、ゴッホは、対照の配色を(赤と緑、青とオレンジ、黄色と紫)用いて、制作するようになります。

ゴーギャンの色の転機

1886年7月~10月にブルターニュに滞在する。この頃は、まだ印象派の様式で多くの作品に取り組み、海景画と静物画を描きます。ゴーギャンは、ゴッホのように色彩理論を理解しましたが、こうした科学的ともいえる色彩理論にもとづき書き描くことはありませんでした。彼の理想の絵画は、原始的な社会を描くことでした。1887年6月マルティニク島につきます。ゴーギャンの色の転機は、マルティニク島の太陽の光です。この地の色彩を強める熱帯の太陽の激しい光によって、ゴーギャンは、より激しく、大胆で、力強い色調を展開しています。光が変われば、色も変わるという捉え方です。

晩年のゴーギャンの作品の中で、ゴッホの色使いを見つけました。


「タヒチの3人」 ゴーギャン/1899年
人物だけでなく背景が、鮮やかな黄色・黄緑で紫の部分は、少し鮮やかさには、かけますが明度は、高いです。
とりわけ、黄色と紫という2色の組み合わせは、色彩対比のひとつです。こうした色彩対比は、亡くなったゴッホがアルルで描いていた色の使い方をまねています。

1886年~1887年にかけて、二人の色の転機でした。ゴッホは色彩理論を信奉し、ゴーギャンはマルティニク島の太陽の光によって、作品の色は、変わっていきます。

 

この記事のライター

aloreライター片桐です
1964年生 既婚 愛知県一宮市住在 会社員
<好きなこと>
美術鑑賞/本、雑誌を読むこと/能のお稽古/着物を着ること/レトロな喫茶店に行くこと/テンションのあがる音楽/人の話を聞くこと/
<取得資格>
国際カラーデザイン協会 カラーデザインマスター/日本カラリスト協会 1級パーソナルカラーリスト/色彩診断士/東商カラーコーディネーター1級(環境色彩)/アートエバンジェリスト/日本色彩学会会員

アート&色。お手すきのときにお読みくださいね。
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