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作品紹介:舞台袖の3人の踊り子(エドガー・ドガ)

作品紹介:舞台袖の3人の踊り子(エドガー・ドガ)

エドガー・ドガ 《舞台袖の3人の踊り子》

今回は、国立西洋美術館の常設展において、6月から新規展示されている(現在は「北斎とジャポニスム」にて展示中)、「舞台袖の3人の踊り子」を紹介する。

エドガー・ドガ 《舞台袖の3人の踊り子》1880-85頃 油彩/カンヴァス 国立西洋美術館

 

登場人物数えてみれば・・・

実は、この作品の登場人物は、タイトルと違って「3人」ではない。「4人」である。

白い服を来た、若いバレリーナの娘が3人いることには、誰しも気づくところであろう。

しかし、もう1人、重要な人物がいるのだ。画面右端に立っている、黒服の男である。

3人の娘たちと、1人の男との関係が、この作品の大きなテーマなのだ。

風刺画としての印象派

エドガー・ドガは、よく「印象派の画家」として取り上げられるが、その画風は、例えば、同じ印象派のモネとは相当に異なっている。

モネが「感じたまま」を描いているのに対して、ドガは「ありのまま」を描いている。

ドガが描いたのは、都市風俗の「ありのまま」なのだ。それも、いわゆる「陰」の部分を暴き出すような作品が多い。

この作品もその一つ。ドガの時代のパリの都市風俗の一部を、風刺的に、描いている。

当時のパリのバレエ舞台は、決して「バレエを鑑賞するための場所」ではなかった。男たちが、バレリーナを「品定め」する場所だったのだ。

この作品の「黒服の男」も例外ではない。バレリーナを品定めするために、わざわざやってきたのだ。

ドガの暴き出す「陰」の本質というのは、まさにこのような「人間模様」である。

ドガの作品の面白さ

ドガの作品の面白さは、「人間模様」を観察するところにあると、私は思う。

バレリーナや酒場の風景を数多く描いている彼が、本当に描きたかったものは、「人間の内面」であると私には感じられるのだ。

人間は決してきれいな部分だけで生きているわけではない。汚い部分もあってこそ、人間である。

この作品も、彼は「倫理的な社会糾弾」を目的に描いたとは思えない。むしろ、「人間」の本質を暴き出すことこそが本当の目的だったのではないだろうか?

そう考えると、ドガが真に描いたのは、「都市風俗」のあるがままではない。「人間」のあるがままなのだと言えるだろう。

「印象派」と呼ばれることを嫌っていたと言われるドガであるが、「そのまま」を描いたという点においては、彼も間違いなく「印象派」の画家の一員であったのだ。

この記事のライター

aloreライターmilkhoppy
<出身>
仙台生まれの東京・川崎育ち。

<所有資格>
アートエバンジェリスト、美術検定2級、教員免許。
 
<意気込み>
「正確なインプットと分かりやすいアウトプット」を、常に心がけ、頑張りたいと思います。
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