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展覧会紹介~平塚市美術館企画展~

展覧会紹介~平塚市美術館企画展~

21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展

実業家である田口弘氏が収集した、現代美術のコレクションの中から72点の作品が紹介されている。

「美術とは何か」というテーマを、作品を通じてじっくりと考えることができる展覧会だ。

作品の紹介(一部)

ヨーコ・オノ 《Play it by Trust》 1966/2015年 “Play It By Trust”1966/2015 Exhibition:”Yoko Ono: One Woman show” May 17,2015-September7,2015 MoMA, NYC,NY Photo by Ryan Muir ©Yoko Ono

私には”by Trust”が引っかかった。本来、極端な言い方をすれば「戦い」であるはずのゲームを持ち出して、「信頼」を表現しようとしている点が非常に興味深い。

ただ当然ながら、ここでいう「戦い」はあくまで「ゲーム」にとどまる。相手を信頼しているからこそ、「ゲームとしての戦い」がそれ以上の「本当の戦い」に発展せずにすむのだろう。その安心感の表現の仕方が、私にはとても面白かった。

リネット・ヤドム=ボアキエ《Brow-Beater》2015 年© Lynette Yiadom-Boakye. Courtesy of the artist, Jack Shainman Gallery, New York and Corvi-Mora, London.

私には、描かれている人物の息遣いがリアルに伝わってきた。ドガの描いているバレリーナを見たときに伝わってくる息遣いに少し似ていた。

その息遣いの正体は、人種差別的なものによるのかもしれないし、もっと彼女自身の抱える個人的な問題から発生しているものなのかもしれない。

いずれにしても、あまりポジティブな思考や状況から発せられる息遣いでないのは、背景が暗い色使いなのからも察せられよう。

展覧会の楽しみ方:テーマは深遠だが、気楽に楽しめ、撮影も自由

本展では、あまり難しいことを考えなくても、作品や解説を通じて、作者のメッセージが非常に読み取りやすく構成されている。また、ほとんどの作品について、写真撮影も許可されている。

「美術とは何か」というテーマ自体は難しいものであるが、それを、一人でも、一緒に行った人とでも、ゆっくりと考えながら、あるいは作品から読み取りながら、じっくりと楽しめる絶好の機会であろう。

岡村桂三郎展-異境へ

屏風のような大型の作品からあふれ出す重厚感が特徴的な、岡村桂三郎の個展。スケールの大きさに圧倒されながらも、作品をよく鑑賞すると、その構成の緻密さに驚かされる。

作品の紹介(一部)と展示風景

岡村桂三郎《百眼の魚18-1》2018年_作家蔵 撮影/末正真礼生 SUEMASA Mareo

まるで、華やかな金屏風に水墨画を描いたかのような岡村桂三郎作品の鑑賞において、スケールに圧倒されるだけではもったいない。

濃淡表現がどのように背景に溶け込み、また、際立たせられているかに注目すると、この展覧会の面白さは、幾重にも拡がると思う。

展覧会の楽しみ方:「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展」と比較すると面白い

「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展」と比較しながら、「岡村桂三郎流の21世紀の美術」を作品から読み取ろうとすると、この展覧会は非常に楽しめると思う。

スケールだけでもなく、濃淡表現だけでもない、その融合としての作品から生まれるものには、この両者の総和を超えたものが、確実に存在していると私は感じた。それが21世紀だから生まれたのか、それとも岡村桂三郎だから生まれたのか・・・?

そんなことをゆったりと考えられる、斬新な展覧会であると私は思う。

この記事のライター

aloreライターmilkhoppy
<出身>
仙台生まれの東京・川崎育ち。

<所有資格>
アートエバンジェリスト、美術検定2級、教員免許。
 
<意気込み>
「正確なインプットと分かりやすいアウトプット」を、常に心がけ、頑張りたいと思います。
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