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ゆかたを普段着に~浮世絵ゆかた美人に~

ゆかたを普段着に~浮世絵ゆかた美人に~

松葉屋内八重菊 かつらき (1795年~97年)
喜多川 歌麿(きたがわ うたまろ)

歌麿の美人画。遊女は、絞りのゆかたをまとって、汗をふいています。青楼十二刻でいえば、巳ノ刻(午前9~11時)あたり、朝湯上がりでのくつろいだ様子をえがいたものであろう。鬢上げ(びんあげ)をした髪からのほつれ毛が何やらなまめかしく見えます。このゆかたの絞りの技術は、江戸時代から始まりました。現在も愛知県有松・鳴海地域が、有名です。

今回は、「ゆかた」をテーマに、由来を知り、浮世絵のゆかたを鑑賞、日本伝統の染め方まで…レポートします。

夏の花火大会やお祭りに「お出かけ着」イメージが定着している「ゆかた」

最近では、レストランや遊園地、テーマパーク、スポーツの試合などでもゆかたを着用して来場すると特典がある施設が増えています。

「ゆかた」の由来 お出かけ着?いえいえ、そもそも普段着です。

「ゆかた」は、平安時代に公家など上流階級の人だけが着る、麻でできた湯浴み用の単衣(ひとえ)から始まり、「湯帷子(ゆかたびら)」といわれました。室町時代には、「身拭い(みぬぐい)」といわれ、湯浴みの後に体を拭う、汗取り用に使いました。江戸時代の中頃、木綿が多く生産されるようになり、身拭いとしてだけでなく、祭り用の衣装、道中着、夏の普段着というように、下着から外出着になって普及していきました。そして、夏に着る単衣を「ゆかた」と呼ぶようになりました

江戸時代 浮世絵のゆかた

鳥居 清信 蚊帳の内外(部分抜粋)

蚊帳の内外(部分抜粋)
鳥居 清信(とりい きよのぶ)

夏のけだるい夜のひとコマです。蚊帳の中で、女は長煙管で一服。木版でうまくできてはいないのですが、くつろいだ表情は、艶めかしいです。

渓斎 英泉 浮世絵風俗美女競 万点水蛍秋草中

浮世風俗美女競 万点水蛍秋草中(1824年)
渓斎 英泉(けいさい えいせん)

初夏の夜明けきらない頃に、蚊帳を出掛け胸元をわずかに覗かせた美人の無心の表情を描いてます。首をすぼめ背を丸めた「猫背猪首(ねこぜいくび)」スタイル、やや大きな顔につりあがった切れ長の目を離れ気味に配置した顔付き、これらは、英泉独自のスタイルです。この美女競は(みめくらべ)とよみます。

大正時代 浮世絵ゆかた

橋口 五葉 髪梳ける女

髪梳ける女
橋口 五葉

女性が髪を梳く姿にはどこか色香が漂います。それは入浴の後の肌のほてりや、体に水滴、髪から匂い立つ香りなど相まって醸し出されるものでしょう。五葉の描くこの女性は若すぎもせず、かといって年増でもない、ほどよい色気をもっています。

江戸時代から伝わる「ゆかた」の染め方は、現代にもあります

絞り染めも有名ですが、長板中形長板地白中形という染め方が、江戸時代から盛んになりました。大変な手間と細心の神経が必要とされる染め方です。現在では、注染(ちゅうせん)技法が開発され、多くがプリントになっています。それでも両面染めの長板中形染めは、色の深みや味わいが違い、いつまでも飽きがこないそうです。現在でも、この長板中形染めを行っている職人さんがいるそうです。

あとがき

浮世絵の美人画には、完成された髪型の見事さも相まって、完璧な色気を醸し出しています。襟元が、だらりとしていても、どこか凛として、ステキに思えてしまいます。最後に染め方を書き添えましたのは、日本の伝統の染め方を知り、ゆかたを選ぶ際の参考になればと思ったからです。そんなところは、洋装と和装の違いかもしれません。今年は、ゆかたを普段着として、着てみませんか…。

この記事のライター

aloreライター片桐です
1964年生 既婚 愛知県一宮市住在 会社員
<好きなこと>
美術鑑賞/本、雑誌を読むこと/能のお稽古/着物を着ること/レトロな喫茶店に行くこと/テンションのあがる音楽/人の話を聞くこと/
<取得資格>
国際カラーデザイン協会 カラーデザインマスター/日本カラリスト協会 1級パーソナルカラーリスト/色彩診断士/東商カラーコーディネーター1級(環境色彩)/アートエバンジェリスト/日本色彩学会会員

アート&色。お手すきのときにお読みくださいね。
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