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ARTのある暮らし7  食卓のある風景

ARTのある暮らし7  食卓のある風景

ARTのある暮らし7
〜食卓のある風景〜

芸術の秋、食欲の秋ということで、食に関連した「食卓」を背景に描かれた絵画を取り上げます。
話は変わりますが、アートのヒエラルキー(格付け)という言葉をご存知でしょうか? 描かれているテーマによって画家の力量が測られ、絵画自体に格付けがなされました。

*アートのヒエラルキー(格付け) とは?

1位 歴史画
描かれる対象/聖書とギリシャ神話など目の前にないものを描く為、それらの知識も必要とされ、上位となる。
2位 肖像画
3位 風俗画
西洋社会は人間中心である為、人間を描いた肖像画、風俗画は上位。
4位 風景画
歴史画の背景を描くことに通じる自然の風景
5位 動物
命あるもの、従って死んだ動物は静物画となる。
6位 静物画
目の前にあるものを写し取るので画家の創造力と知識を必要としない為、格付けとしては最下位。

絵画や彫刻は目に見えない聖書やギリシア神話の物語も形にする仕事で、それらに対する知識、そして画家の創造力、画面の構成力が必要となります。ここから、絵画や彫刻はより崇高で知的な仕事であるという考え方が生まれました(特に歴史画)。そうして16世紀になるとイタリア絵画を模範にして17世紀にヒエラルキー (格付け) が形作られました。このヒエラルキーを形式化し奨励したのが「美術アカデミー」特に最も大きな影響力を持つフランスの「王立絵画彫刻アカデミー」です。
今回は、格付けからいえば、最下位に位置はしますが、静物画「食卓」のある風景をテーマにお話しします。そうは云っても私達と「食」は欠かせない距離にありますものね。

1. レオナルド ダヴィンチ「最後の晩餐」の謎

レオナルド ダヴィンチ 1495-1498 サンタ マリア デッレ グラティエ教会

あまりにも有名な「最後の晩餐」。この絵はキリストが処刑される前夜、使徒13人と食事を共にする光景が描かれています。従って、食卓であっても歴史画に属します。この絵を様々な角度から解釈し謎を指摘する人もいます。 よく見ると私も気になる点があります。キリストの右側に座る聖ヨセフ、この人は男性でありながら、髭もなく、女性的に描かれています。当時、男性をモデルにして女性を描くということがよくありました。そしてこの人物はマグダラのマリアであると指摘する人がいます。その脇には裏切り者のユダが座っています。聖人とはいえ、最後の晩餐に最も愛する弟子達、その中でも最もキリストの寵愛を受けた弟子で事実上の妻でもあるとされるマグダラのマリアが隣に仕えるということはありえるのではないでしょうか?そう考えるとダヴィンチのこの絵に描かれたキリストはとても身近に感じられないでしょうか。

2. ジャン シメオン シャルダン 「瓶、グラスとパン」

ジャン シメオン シャルダン 瓶、グラスとパン

ロココ美術全盛の18世紀に中産階級のつましい生活や静物画を描き続けたジャン シメオン シャルダン(1699ー1779仏)は当時異例の待遇を受けた恵まれた画家でした。
家具職人の父の元に生まれ、歴史画を得意とする工房で画業を学んだシャルダンは、1728年に<赤エイ>で認められて王立絵画アカデミーの正会員となりました。しかし、題材は食器類や食材といった静物画で、1933年頃から日常生活を主題とする風俗画が増え始めます。シャルダンの作品は歴史画が最高位であった当時でさえ、日常的な題材を真に迫る写実表現で描かれていることから非常に評価が高く、アカデミーの会計官を務めた他、ルーヴル宮の中にアトリエ兼住居を授かるなど異例の名誉を授かった画家です。晩年は解任など不遇が続きますが、風俗画家としては特別な画家です。

3. ポール セザンヌ「壷、籠と果物」の構成

ポール セザンヌ 1880-1890 壷、籠と果物

ポール セザンヌ(1839ー1906)は印象派の画家であり、後のキュビスムの父と云われます。
ルネッサンスの時代より絵画は透視図法を使って多く描かれてきました。焦点となる点は1点、2点、3点、ダヴィンチの「モナリザ」に使われた技法、近い所は濃く、遠い背景は淡い色彩で描くという空気遠近法なども広く透視図法の中に含まれます。
セザンヌの技法はこれらと全く異なり、焦点を持たない描き方をしています。左右や上下、様々な角度から描く対象を眺めています。
この絵では、壷は斜め上からバスケットは真横から、そしてテーブルはいびつな形をしています。これは「多視点画法」と呼ばれ、のちのキュビスムへと発展していきます。

オススメ美術のアレコレ

*美術展

<オットー ネーベル展>
オットー ネーベル (スイス1892ー1973) はバウハウスでカンディンスキーやクレーと出会い、第二次大戦中ドイツベルンへの移住中もクレー夫妻と親しく交流しました。クレーとの交流からお互いに影響を受けあい、俳優としても活動、様々な技法を経て独自の発展を遂げた知られざる画家、日本初の回顧展です。当時の名立たるシャガール、カンディンスキー、クレーとの近似性など興味深い展示です。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/
Bunkamura ザ ミュージアム  〜12/17

*シネマ

<ゴッホ最期の手紙> 初公開 2017年イギリス
遺体に残された弾痕の角度からゴッホの自殺の真相に迫る!!
映画はまず、俳優達が役を演じる実写映画として制作され、ゴッホの絵画に似たセットや撮影後のCGに合成されました。その映像はキャンパスへ投影され、ゴッホのタッチを特訓された選ばれた画家達の筆で油絵に。本編の1秒は12枚の油絵を撮影した高解像度写真に寄って構成され、全編が動く油絵で構成された珠玉のサスペンス映画です。
http://www.gogh-movie.jp/
六本木TOHOシネマズ 他


FIN.

この記事のライター

aloreライター@新井隆子
子供の頃に家が城下町にあった為、近所にお堀のある公園、その中に城跡や県立美術館があり、美術館好きになりました。中学の頃からNHK日曜美術館ファン。
’70 大阪万博の時、岡本太郎の『太陽の塔』の前の特設ステージで開催されたアジア少年少女合唱際に参加、歌ったことも想い出の一つです。
昔、大学で(社会)心理学、その後インテリア、建築を学び「コワイ」と言われても元から「美術」&「心理学」が好き。

年齢/昭和3?年戌年生まれ。
職業/主婦。ブログライター、リサイクル雑貨アーチスト(1992年頃からatelier Pluie de Couleurを設営)。過去、公民館生涯学習部、手作り教室等で講師の経験があります。

*ハンドメイドのオリジナルブランド”atlier Pluie de Couleur” 公開中。
*リトグラフ、古伊万里、鉄瓶のWEBSHOP <A.Gallery>経営中。

趣味/美術館、ギャラリー巡り。地方の隠れ家美術館の発掘。料理。旅行。ピアノ演奏。映画鑑賞。
資格/英語検定2級。美術検定2級。アートエバンジェリスト認証。
家族/既婚。夫婦+息子1人+トイプードル

都会の心のオアシス「美術館」
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