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美術館と私9  〜EXPO’70 から見る’60 ~’70年代〜

美術館と私9
〜EXPO’70 から見る’60 ~’70年代 〜

東京オリンピックがいよいよ来年2020年に開催、それにひき続き、昨年11月には2025年の大阪万博開催が決定されました。ARTの楽しみを伝える活動をする<アートエバンジェリスト>のうち、初代で最長老!? かもしれない私は、大部昔の話題しかも私事で非常に恐縮なのですが、個人的にも関わった思い出のある「EXPO’70」について書いてみたいと思います。世代の異なる読者の方には新鮮に、同世代の方には懐かしく当時を思い出しながら読んで頂けると幸いです。

EXPO’70「太陽の塔」カード&少年少女合唱際参加メダル

1. EXPO’70に参加して

EXPO’70 にART を重ねて思い出すのは、何と言っても岡本太郎の「太陽の塔」、そして世界各国の斬新なパビリオンやそこで働くコンパニオンの方達の個性的なユニフォームなど。私の個人的な思い出としては、当時児童合唱団に所属していて、アジア少年少女合唱祭第5回アジアの一員として「太陽の塔」の前の広場で韓国などアジアの人達と歌ったということ。楽曲は「ハレルヤ」。子供の頃山形市に住んでいた私は、合唱団の人達と共に東京を経由し大阪に向かい参加したのですが、その時は太陽の塔の内部の見学もあり、螺旋状になったミクストメディアの展示光景など現在もそのまま残されている形で記憶しています。参加出来たとても貴重な体験だったと当時を振り返ります。そして万博に関わった多くの方々もかなり年配になっておられる筈、同じような思い出をお持ちかと思います。
合唱際のイベントの直前には「太陽の塔」に一人の男が立てこもる事件なども起こり、世間を騒がせていました。
また、アポロ11号が持ち帰った「月の石」が展示してあるアメリカ館の行列が凄かったこと、オーストラリア館の前に数頭の羊が放牧されていてとても新鮮だったこと、近未来をテーマにした展示も多く、宇宙服のようなコンパニオンのユニフォームや、未来を予想したテレビ電話、座ったまま機械が自動的に洗ってくれるようなバスタブなどの生活便利器具の展示など、宇宙へ広がるようなテーマの展示も多かった記憶があります。また、マクドナルドが日本に初めて上陸したのもこのEXPO’70の時ではなかったでしょうか。

2. 1960年代〜70年代の出来事

アポロ11号宇宙飛行士
フリー画像
NASA宇宙センター提供

大阪万博が開催された1960年から10年間の出来事としては1964年に東京オリンピックが開催され、入場行進時の世界各国の選手の鮮やかなユニフォーム姿も記憶に残っています。また1969年に先に述べたアポロ11号が人類で初めて月面着陸をしたり、ショックな出来事としてその同じ年には、作家三島由紀夫が市ヶ谷自衛隊駐屯地で壮絶な最期を遂げています。その少し前の1958年には東京タワーも建設され、映画「ALWAYS 三丁目の夕陽」などでも当時の様子が描かれています。(東京タワー建設までは知りませんが..) それらは子供心に印象深い思い出として未だに記憶に残っています。それ以降に産まれた方々にも様々な雑誌や報道によって、一般的なこととして知られている出来事ですね。

3. 当時の流行あれこれ

絵画を含め音楽、芸能も全てアートと捉えるならば、第二次世界大戦から10年以上の時を経てなんとか経済が落ち着き復興へ向う兆しが見え出した60年代は海外からも色々なカルチャーの波が押し寄せました。イギリスの工業地区リヴァプールから4人の若者が出て世界中を巻き込む大ブームとなったのも60年代。あのビートルズ、ですね。そして日本に訪れたのも60年代。ちょうどアメリカから「自由と平和」を旗印にヒッピームーヴメントが生まれ、急速に進む時代の流れに逆光するかのような長髪の若者が街に溢れました。また、同じ英国から小枝のように痩せ細ったツイギーというモデルが来日、美人の基準に革命をもたらしました。(昨年観たのですが、渋谷BUNKAMURAなどでツイギーの映像など写されていて、写真集なども大部前から出版されていたり、当時流行だった水森亜土さんや宇野亜喜良さんの人気が再燃していてグッズも多く見かけます。流行が親から子へと新しい形で受け継がれる様子を目の当たりにして社会現象として面白い感じがします。)
このような ’60〜’70年代、既成概念を覆すかのような若者を中心とした様々なファッションや社会の流れは主に欧米の影響を受けたもので、それまでの日本には無いものでした。

twiggi ’60 モデル ツイギー

4. 2025 EXPOと国内ART事情

今年2019年は4月30日に天皇が退位し元号も変わり、来年はいよいよ東京オリンピックですね。一生のうちで2度の国内でのオリンピック開催を体験するという貴重な機会にも重ねて、2025年には再び大阪で万博が開催されることが決定したそうです。古くは島国として発展してきた日本ですが、このように広く海外からの人口や文化の流入を加速するような国際的な行事が増え、益々グローバル化が進んでいます。美術館やギャラリーの来館者も国内からだけではなく海外からの来訪者をも意識し、企画されてきている感じもします。日本の伝統文化なども見直され、また理解し易い展示方法など工夫とアイデアが練られています。美術の世界では現在開催中の「新北斎展」のような古くから海外の注目を浴びる日本の浮世絵が、初公開される作品を含め六本木ヒルズ最上階の森美術館で展示公開され凄い混雑だったり、「民藝」展は日本の伝統工芸のひとつ「民芸」を斬新な安藤忠雄氏設計の21_21DESIGN SIGHTで鑑賞者に質問を投げかける形での工夫を凝らした展示方法など。また千住博氏は作品シリーズ「ウォーターフォール」であの真言宗総本山である高野山金剛峰寺襖絵を蘇らせ、広く日本の伝統文化の源である寺社仏閣から斬新なアイデアを世界に発信しています。古いものと新しいもの、相容れないものをミックスさせた斬新なアイデアが取り入れられています。

5. 古いものと新しいもの

日本はこれから超高齢化社会、人口比率的に棺桶型社会へ突入すると言われていますね。日常住宅街を歩いていても高齢者が一人で買い物をする姿を多く見かけます。更に海外からの流入者も増え、混沌とした社会になって行くに連れ、それらを統合してバランスの良い平和な社会を築くのはますます困難になっていくのかもしれませんね。他民族国家では無かった日本のこれから進んで行く未来はどのように変化していくのでしょうか。相容れないもの同士を上手く調和させ平和を築いていく上で<ART>の技術は何かできる気もします。

6. ARTなシネマ

最近オープンしたカルト系シアター「アップリンク吉祥寺」でも公開された海外アーチストのドキュメンタリー映画2本の紹介です。

*ヨーゼフ ボイスは挑発する
https://www.youtube.com/watch?v=Ts8uihS0snI&feature=youtu.be

*オラファー エリアソン 「視覚と知覚」
先の千住博氏の「ウォーターフォール」を意識したかのようなエリアソンの作品「ニューヨークシティ ウォーターフォール プロジェクト」の制作風景を含むエリアソンのドキュメンタリー映画。DVD。
http://www.ficka.jp/olafur/

 

6. ARTなコンサート

2月5日から28日まで銀座メゾンエルメスフォーラムで「ピアニスト」向井山朋子展が開催されました。今回の演奏は5日の立春から毎日1時間ごとにずらし昼夜問わず行われました。原美術館で「人生を変えてしまうメロディー」で心魅かれた私は、今回もまた足を運びました。この方はアムステルダムに拠点を置き、ピアニストとして国際的に活動する傍ら自ら振り付けや演出を行い、アートインスタレーションなども発表するなど幅広い活動をしていらっしゃるそうです。グレーヘアそのまま、裸足で演奏するなどとてもストイックな方で、演奏は並々ならぬ練習量であることを彷彿とさせる職人のような技で、エルメスが馬具造りから発祥したことに重ね合わせとてもクリエイティブなコンサートでした。初日に近い頃と最終日に足を運んだのですが、初演の頃はバラバラな空気に包まれていた聴衆が、最終日の頃は鑑賞者と演奏者が同じオーラに包まれ同一化したかのような場の雰囲気に驚きました。ピアノの奏でる音の凄い影響力。以前、小山実稚恵というピアニストのコンサートが渋谷BUNKAMURAで12年というスケールで開催されていた時も非常に興味があったのですが、こちらの演奏者の方々のような従来の形式にとらわれないコンサートの在り方に音楽や美術という枠を超えた何か強いシンパシーを感じます。広報の方にお聞きしたところ、向井山さんの国内でのコンサートはこの会場以降まだ未定の様子で、個人的に次回またどこかで聴けることを心待ちにしています。

「ピアニスト」向井山朋子展 銀座メゾンエルメスフォーラム
「ピアニスト」銀座メゾンエルメスフォーラム

7. 注目!! の美術展

*ル コルビジェ 絵画から建築へ   ーピュリズムの時代
https://lecorbusier2019.jp/

*「ソフィ  カル  ー 限局性激痛」原美術館コレクションより
https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/382/

*六本木クロッシング2019展:つないでみる
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/roppongicrossing2019/index.html

 

いよいよ花開く春ももうすぐ。お散歩がてら美術館へも足を運びませんか?素敵なARTが貴方を待っています !!

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当ライターの趣味のWEBフリマ<A.Gallery>。3月末までの期間限定セールも開催しております。鉄瓶やリトグラフなどの取り扱いもあります。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/vukhk3d64jurnsrn2m76m377vm/

また、春以降から再び平櫛田中彫刻美術館(東京都小平市)でのボランティアガイドを始め、近郊でのART巡りなども計画しています。予定が実現可能となりましたら、このブログからも発信させて頂きます。お時間のある時にご参加頂けると光栄です。

 

FIN.

この記事のライター

aloreライター@新井隆子
子供の頃に家が城下町にあった為、近所にお堀のある公園、その中に城跡や県立美術館があり、美術館好きになりました。中学の頃からNHK日曜美術館ファン。
’70 大阪万博の時、岡本太郎の『太陽の塔』の前の特設ステージで開催されたアジア少年少女合唱際に参加、歌ったことも想い出の一つです。
昔、大学で(社会)心理学、その後インテリア、建築を学び「コワイ」と言われても元から「美術」&「心理学」が好き。

年齢/昭和3?年戌年生まれ。
職業/主婦。ブログライター、リサイクル雑貨アーチスト(1992年頃からatelier Pluie de Couleurを設営)。WEBSHOP経営。

*ハンドメイドのオリジナルブランド”atlier Pluie de Couleur” 公開中。
*リトグラフ、古伊万里、鉄瓶のWEBSHOP “A.Gallery" 経営中。

趣味/美術館やギャラリー巡り。地方の隠れ家美術館の発掘。料理。旅行。ピアノ演奏。映画鑑賞。
資格/英語検定2級。美術検定2級。アートエバンジェリスト認証。
家族/既婚。夫婦+息子1人+トイプードル

都会の心のオアシス「美術館」
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