AE-Salon Webマガジン「alore(アローア)」

美しきARTな日々11 〜日常に見つける美〜

美しきARTな日々11  〜日常に見つける美〜

美しきARTな日々11
〜日常に見つける美〜

「ハマスホイとデンマーク絵画」フライヤーetc.
「ハマスホイとデンマーク絵画」フライヤーetc.

2008年に国内で初めて展覧会が開催され、ポスターに衝撃を受けること早10年あまり、「ハマスホイとデンマーク絵画」展が東京都美術館で開催されています。「室内画」という呼び名で命名され北欧のフェルメールと詠われるハマスホイの、室内で描かれた絵画の数多くは何気ないデンマークの家庭生活の一コマ。その多くが妻(しかも後ろ姿)をモデルにして描かれたモノクロ写真のような作品です。ハマスホイはデンマーク最北端の漁師町スケーインを発祥の地とするスケーイン派の画家、その色調からも限りないノスタルジーを感じさせ、人のいない何も描かれていない室内が謎とされ、そして現存される彼のパレットには白とグレーしかなく、無彩色に近いモノトーンな色調だけで寡黙にシンプルに独特の作風で日常の様子が表現されています。
およそ100年前に既に、現代の流行色でもある暗いモノトーンの色調で写真のような絵画を描くセンス。アートの世界だけではないですが、天才的な才能って、100年先、200年先を予言する?ものだな、と感じ入ったりします。

1. 第 I 期  「Simple is Best.」の流行

無印良品「MUJI」のブランドなどが生まれた1970年代後半、この「Simple is Best.」という流行語も生まれました。北欧家具IKEA等が輸入されて一般家庭にもインテリアの概念が根付き普及し始め、西武百貨店がテレビCMに海外のアーチストを起用するなど、生活の欧米化が進むと同時に無駄の無い合理主義的なライフスタイルを賞賛する動きも生まれました。欧米では、20世紀初頭に既にアールヌーボーからアールデコへデザインの潮流が流れ、簡潔なデザインの家具やインテリアに囲まれたシンプルなライフスタイルを好む風潮も生まれていました。ゴテゴテした過剰な装飾のない家具や家、それまでもキリスト教プロテスタントの異端アーミッシュの生活スタイルや逆に20世紀初頭の未来派など、工業化が進み機械文明から生まれたスピード感や合理主義を賞賛する風潮の中から生まれた先のアールデコもありましたが、このような歴史を経てそれまでにない価値観の多様性を認める風潮とゆとりが生まれて来ました。近代をモダンと訳すとすれば、これらのようなシンプルなライフスタイルに合うモダンな家具や家がそれまでにない快適さを生むようになり、またそれらはあらゆる点で無駄が少ない為に比較的「安価」に手に入れることが可能で、くらしの「道具」として重宝がられるようになったのではないでしょうか。

「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」フライヤー
「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」フライヤー パナソニック汐留美術館

このような事実に関連する企画展を最近観ました。上の画像は「パナソニック汐留美術館」で開催中の「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」です。ご存知の方も多いと思いますが、この美術館は住宅設備機器パナソニックのミュージアムで絵画だけではなく、住宅や家具デザインに関連した企画展も多く開催されるミュージアムとなっていて、今回の展示もブルーノ・タウト、剣持 勇、イサム・ノグチ等といった時代に深く影響を与えた国内で活躍した著名なインテリアデザイナーに関する作品や展示でした。20世紀初頭から後半にかけてモダンなデザインの家具等を国内で発表、明治期以降の日本のライフスタイルに影響を与えたとされるデザインの数々。MOMA(ニューヨーク近代美術館)で日本の家具として初めて収蔵品となった剣持勇の籐椅子やバタフライチェア、プラスティックのヤクルト瓶のデザインなど、どこかで必ず目にしている簡素ながら美しいとされるそれらはそれまでの日本のデザインに対する意識を変革したのではないでしょうか?常に発展と進化し続けるデザインの世界ですが、タウトやレーモンドなど欧米のデザイナーが日本の桂離宮から触発され発想されたデザインなど、初期のモダンデザインの中に今でも常に時代をリードしている新鮮さを感じます。
https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200111/

2. 第 II 期 〜 現代のデザイン

残念ながらコロナウィルスで3月12日まで休館となってしまいましたが、好評で会期延長となっていた21_21 DESIGN SIGHT「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」を観て来ました。ポスターがやはり剣持勇氏デザインのヤクルト瓶で、スクリーン会場入り口にも瓶のモデルが展示してありました。また、新国立競技場設計者で、当ブログでも言及した隈研吾さんのデザイン試作の為の模型やスケッチ、なんと折り紙モデルまで、またBenesseのマークで知られている松永真さんの原画などなど、1953年設立の日本デザインコミッティーのメンバーの方々の原画や立体模型等の展示で、普段見ることのできない、デザイナーの着想を具体化させ商品化に至る過程を、臨場感溢れる立体スクリーンや展示ケースから垣間見ることができる流れになっていました。私が訪問した日はとてもコロナウィルス騒ぎで暫く休館となることなど想像出来ない程、若いカップルなどの入館者で溢れていて、デザイナーを目指す人もそうでない人にも将来への指標となるべき教育的な内容と展示方法となっていました。

㊙展 21_21DESIGN SIGHT
隈研吾氏の展示 ㊙展 21_21DESIGN SIGHT


http://www.2121designsight.jp/program/inspiration/

3. エトセトラ

1) アーティゾン美術館内覧会

2015年5月からの長い休館を経て、1月18日にリニューアル開館したアーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)ですが、早くも2回めの企画展内覧会が26日美術館内で開催され、参加してきました。

「クロード モネ ー風景への問いかけ」内覧会 アーティゾン美術館
「クロード モネ ー風景への問いかけ」内覧会 アーティゾン美術館

石橋館長による挨拶の後、担当学芸員の方の説明と特別企画協力のオルセー美術館主席学芸員シルヴィー・パトリ氏解説のビデオを観賞、繰り返し開催される印象派に関する展示の本企画の特別な見どころなどの解説があり1時間程で終了となりました。会期は2020年7月11日(土)〜10月25日(日)までとまだ先ですが、オルセー美術館からの出品作品22点、同時代の画家達の写真や浮世絵など様々なジャンルの視覚表現と交錯させた前例のない新しい展覧会となっているそうです。関連作品を含め計96点の展示作品、11章にも別れる細やかな分析と鑑賞方法でこれまでとは違うユニークな視点を加味した印象派モネの展覧会となっているそうです。この内覧会に関連して次回当ブログで具体的に触れる予定ですので、お楽しみに!!
https://www.artizon.museum/collection-museum/exhibition/detail/5

尚、今回ご紹介した企画展は全ておススメ!! の企画展となっています。是非、足を運んで御自分の目で確認してみて下さい。

2) マイショップ

☆atelier Pluie de Couleur

手芸と造形作品の折衷のようなハンドメイドをstore.com から出店しています。試行錯誤中ですが、時々更新しています。是非御高覧下さいませ。
https://a-pc.stores.jp/

☆A.Gallery

Yahooショップから独立store.comから出店しています。リトグラフ、鉄瓶、古伊万里など、趣味のものを販売しています。
https://juliaz.stores.jp/

3) コロナウィルスによる各地美術館休館について

新型コロナウィルスにより、国内小中学校、高校が休校となる中、各地美術館でも休館を決定しています。美術館御訪問の際は各ホームページ等で御確認下さい。

21_21 DESIGN SIGHT外観
21_21 DESIGN SIGHT外観

fin.

この記事のライター

aloreライター@新井隆子
子供の頃に家が城下町にあった為、近所にお堀のある公園、その中に城跡や県立美術館があり、美術館好きになりました。中学の頃からNHK日曜美術館ファン。
’70 大阪万博の時、岡本太郎の『太陽の塔』の前の特設ステージで開催されたアジア少年少女合唱際に参加、歌ったことも想い出の一つです。
昔、大学で(社会)心理学、その後インテリア、建築を学び「コワイ」と言われても元から「美術」&「心理学」が好き。

年齢/昭和3?年戌年生まれ。
職業/主婦。ブログライター、造形作家(1992年頃からリサイクル雑貨制作atelier Pluie de Couleurを設営)。過去、公民館生涯学習部、手作り教室等で講師の経験があります。

*ハンドメイドのオリジナルブランド”atlier Pluie de Couleur” 公開中。
*リトグラフ、古伊万里、鉄瓶のWEBSHOP <A.Gallery>経営中。

趣味/美術館、ギャラリー巡り。地方の隠れ家美術館の発掘。旅行。ピアノ演奏。料理。映画鑑賞。
資格/アートエバンジェリスト認証。美術検定2級。英語検定2級。
家族/既婚。夫婦+息子1人+トイプードル

都会の心のオアシス「美術館」
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