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水と緑とアートを満喫!北アルプス国際芸術祭

水と緑とアートを満喫!北アルプス国際芸術祭

今年が初開催!新しいアートの祭典

北川フラム氏が総合ディレクターを務める「北アルプス国際芸術祭」に行ってきました。会場は長野県の大町市。想像以上に面白い作品が多く、豊かな自然と共に楽しめました。会期は7月30日までと残りわずかですが、いくつかの作品の紹介を通してその雰囲気を少しでもお伝えできればと思います。信濃大町駅

私は1日目には周遊バス「アルプバス」を利用して作品を回り、大町温泉郷に宿泊して、2日目は「地元ガイドと巡るアートサイトツアー(東回り)」に参加しました。

市街地に素敵なアートがたくさん!

1日目、信濃大町駅周辺の市街地にある作品から。原倫太郎・原游『たゆたゆの家』の1階は水面の上にモビールが揺れる幻想的な空間、そして2階にはなんとシャボン玉発生装置。手前のロープを引っ張ると液に浸かったネット部分が引き上げられ、巨大なシャボン玉がぽこぽこと。素朴なのにダイナミックで、楽しいインスタレーションです。『たゆたゆの家』

高橋治希『北アルプス 高瀬川庭園』は、陶器の花が部屋一面に広がる作品。花の部分はもちろん、茎のしなる様も見事です。この周辺の作品展示には古い空き家や蔵が使われており、その趣ある建物も見どころ。外の水路には澄んだ雪どけ水がとうとうと流れていて、暑さを一瞬忘れさせてくれます。『北アルプス 高瀬川庭園』

この土地らしい、水を使った作品の数々

「アルプバス」の「大出」バス停から歩いていける宮の森自然園には、遠藤利克『Trieb ―雨為る森―』。高く伸びた木々の合間から勢いよく流れ落ちる滝の、この上ないすがすがしさ!周囲の自然とも完全に調和して、作品であることを忘れてしまうほどです。視覚だけでなく、気配や音でもその魅力をしっかりと体感できます。

大町温泉郷の4作品は驚きや発見のある楽しいものばかりでしたが、中でも印象に残ったのがマーリア・ヴィルッカラ『ACT』。場所は森林劇場、林の中の野外音楽堂のような施設です。ステージの上の金だらいや鍋に水が落ち、高さやリズムの異なるユーモラスな音を合奏のように響かせています。さらに指揮台にのぼると上から一斉に降ってくる、細かい霧状の水。自分が浄化されていくような、何かに祝福されているような、不思議な感覚に包まれます。スタッフのかたによると「雨の日も、地面まで流れ落ちた水が雨と同化するのが綺麗で好評なんですよ」とのこと。

アートを通して、大町のさまざまな魅力を楽しめる

2日目のツアーで最初に訪れたのが、フェリーチェ・ヴァリーニ『集落のための楕円』。場所は棚田が広がる八坂地区の、3世帯のみが暮らす集落です。その家のあちこちに黄色いテープが貼られており、少し離れた坂の上のある一点から見ると、何重にもなった楕円が出現!山間の小さな小さな集落、でもそこに幾何学的な模様がプラスされることで、民家の屋根の色まで驚くほどポップに見えてくるのが不思議です。『集落のための楕円』

鷹狩山山頂付近には、話題のクリエイティブチーム「目」による『信濃大町実景舎』。「目」の作品はネタバレ禁止になっていることも多いですが、今回は撮影も可能です。雲のように、あるいや雪のようにカーブを描く白い空間から見渡す信濃大町の絶景。天気や時間によって変わる景色を楽しめます。

木崎湖周辺の作品の中からは、五十嵐靖晃『雲結い』。地元のかたがたと共に組んだという組紐が、まっすぐに空を指しています。人と人との、そして人と自然とのつながりを感じられる、力強く美しい作品です。『雲結い』

バスで効率よく芸術祭を回れるアートサイトツアー。今回担当してくださった地元のガイドさんは、なんとこの日がガイドデビューだったとのこと!豊富な情報とわかりやすい説明からその熱意が伝わり、少しでも多くの作品を回れるようにと時間の配慮もしてくださって、終了時には大きな拍手がわき起こりました。

規模は小さくても中身の濃い芸術祭

「北アルプス国際芸術祭」の作品数は、「瀬戸内国際芸術祭」や「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に比べると少なめ。でも見応えのある作品が多く、さらに短い滞在で展示作品の大多数を回れるので、その分とても達成感があります。ちなみに私は2日間で、期間限定イベントなどを除く34作品のうち28作品を鑑賞できました。

以下、これからお出かけになる方にお伝えしたい点をいくつか・・・。

・作品の公開時間は10:00~17:00となっていますが、温泉郷の作品は9:30過ぎにオープンしていました。市街地の作品も同様らしいので、特に土日は可能なら少し早めに行ってみることをおすすめします。

・標高の高い大町ですが非常に暑く日差しも強いので、熱中症にくれぐれもご注意を。駅前や温泉郷のインフォメーションセンターでは、芸術祭オリジナルパッケージの大町の湧水のペットボトル(500ml)が1人1本もらえます。

・日帰りでも、市街地と大町温泉郷、さらに少なくともあと1エリアはバスやタクシーで十分回れます!かなり満足できると思います。

・これは念のためのお知らせですが、林の中の作品のそばに置いてある“熊よけの鈴”はきちんと付けて歩いた方が良いです。滞在中、『Trieb ―雨為る森―』と周辺の作品が一時的に公開中止になっていたのですが、理由は「熊らしき動物の目撃情報があったから」とのことでした・・・!

水と緑に恵まれた信濃大町で個性あるアートを楽しめる新しい芸術祭、ぜひひとりでも多くのかたに足を運んでいただけたらと思います。どうぞ楽しい旅を!

この記事のライター

aloreライターノムラシマ
ネコと銭湯と焼肉をこよなく愛するコピーライター。
現代アートが好きで、美術館のほか芸術祭にもときどき出没。ひとり暮らし歴約15年。
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