
まるで、美術館かコンサートホールのようなこの建物は何か解りますか?素敵にライトアップされ、夕暮れの国立新美術館 (六本木) のようでもあるこの建物は『新武蔵野クリーンセンター』という武蔵野市のゴミ処理場です。コンサートホールのようなこの建物、とてもここが、武蔵野市のゴミを全て処理加工する為の場所とは思えません。時折、広場で関連イベントも行われているようです。優れた建築デザインであり、アイデアであり、ARTでさえあります。住宅街であり、近隣を配慮した試みなのでしょう。
ARTが伝えたいこと
さてARTとは一体何でしょう?ヒトとヒトがコミュニケーションを取る時に、言葉や文字、絵でそれを伝えます。太古一万年以上前から、洞窟に壁画を描いて人類はものを伝えようとしてきました。言葉のない昔、動物のような鳴き声がコミュニケーションの手段だったろうヒトだけが、手を使って描くという伝達手段に到達しました。ここから文字も生まれてきます。描くという行為は何かヒトに伝えたいことがある時の伝達方法の一つなのです。それは、時を経た現代も変わらず、人間の最古の職業は画家であるという人さえもいます。そして、伝えたいことは喜びや悲しみ、嘆きや驚きだったりすることは現代も変わらないのではないでしょうか?
ARTを取り入れた取り組み〜百貨店、ホテル、病院など〜
今年銀座に巨大複合デパート『GINZA SIX』がオープンし、かなり話題となりました。総合プロデュースはあの森美術館館長の南条史生氏だそうです。1階フロアからの吹き抜けの天井部分からは、草間彌生さんの水玉柄の<かぼちゃ>がぶら下がり、途中にも滝のインスタレーションや6階のブックショップTSUTAYAはアート関連の書籍がぎっしり、その中には本を選びながら、コーヒーの飲めるCAFEがあり、分厚い扉で隔離されたギャラリーの内部には有名オークションで落札されたであろう注目すべき現代アーチストの作品が展示されています。そして、オープン時は、話題の彫刻家名和晃平(なわこうへい)さんの巨大なインスタレーションがパーティションとして展示されていました。


IT化が日常生活の範囲まで拡大し、実店舗を持たないWEB上のショップやモールが増え続け、次々と百貨店などは閉店が相次ぐ中、銀座という一等地で今、百貨店を作るというリスクをアートが救えるのか、そういう意味でも各界の注目を浴びています。
また、ホテルなどの取り組みとして、10年位前から、PARK HOTEL TOKYO (汐留) が単なるデザイナーズホテルの域を超え、アートホテルとして営業しています。全客室の内、31部屋をアーチストの方達が内装や小物の全てをプロデュースしています。各部屋異なるアーチストの方達が何ヶ月も泊まり込みで制作した客室だそうです。

ホテルの方にお聞きしたところ、今から活躍を期待される新進の作家さん達に制作の為に部屋を開け確保しておく、という莫大な資金を投じてまでの試みだそうです。アーチストの方達を支援する取り組みなのでしょう。また、こちらのホテルでは、ラウンジで美術展の開催をするなど、アート関連のイベントを随時行っているようです。

また他の例として、心安らぐ空間の演出の為に病院や幼稚園、保育園などでもアートを取り入れている所も増えて来ています。

ARTが美術館以外の所で私達の日常に近い所迄、浸透しつつあります。ARTという共通言語を通して、理解しあえる思いやりのある優しい社会ができればいいですね。
今月のオススメ!!
*美術展
<サンシャワー 東南アジアの現代美術展> 国立新美術館 X 森美術館 〜10.23
東南アジア出身で世界各地で活躍中の若手作家さん達のスケールの大きなビデオアートなど、夏らしいイヴェントも盛り沢山のアートフェス。発展途上の地域でも急激なIT化や都市化が進みつつあり、狭間で揺れ動く現在の状況をARTの視点から描いた作品など。
*美術館
<奥多摩町立せせらぎの里美術館> 小沢七絵展開催中 8.8〜9.10
奥多摩の渓流沿いに緑生い茂る道を歩きながら辿る道のりもまた格別。熱中症予防にペットボトル必須!!
*インテリア
創業300年の畳屋さんが経営する “K’s Green Gallery”。その1Fショールームには、足元も涼しく清々しい国産のい草のマットやラグが並んでいます。
国立西洋美術館の帰り、谷中霊園を出て左折すぐの所で見付けました。
FIN.