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『怖い絵』を持ってパリに行く! ~大人のアート旅4

『怖い絵』を持ってパリに行く! ~大人のアート旅4

2017年でもっとも話題を集めている展覧会のひとつ、『怖い絵展』。日本での展示を楽しんだら、次は『怖い絵』を持ってアート旅に出かけてみませんか?

『怖い絵』とは?

『怖い絵』とは、作家でドイツ文学者の中野京子先生が出版したベストセラー。2007年に『怖い絵』が上梓されたあと続編2冊が出され、2016年には『新・怖い絵』も刊行。絵画の中に潜む闇や恐怖の部分にスポットを当て、歴史や文化的背景をもとに読み解いていく『怖い絵』シリーズは、アート関連書としては異例の大ヒットを記録しました。

さらに、2017年には神戸と東京で『怖い絵』展も開催。これは『怖い絵』第一巻が出てから10周年を記念して行われた展覧会で、先に終了した神戸会場では27万人もの入場者数を記録したそうです。私も上野の森美術館に3度通い、長蛇の列にも並んで、たっぷり展示を楽しんできました。

パリで“怖い絵”を探す!

ルーヴル美術館(撮影:wako)

そんな大好きな『怖い絵』シリーズを持ってパリでアート旅を実践。まずはルーヴル美術館に行きました。同館に所蔵されている書籍掲載作品は、ダ・ヴィンチの《聖アンナと聖母子》をはじめ、ラ・トゥールやジェリコーの作品など全6点。さすがに多いです。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《いかさま師》

ルーヴルで見たもっとも印象的な“怖い絵”は、ラ・トゥールの《いかさま師》。この絵は『怖い絵』単行本第一巻の表紙を飾っていたので、ファンには思い入れの強い一枚です。

本作品は2005年に来日し、国立西洋美術館の『ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展 ― 光と闇の世界』で展示されたこともあります。私も見に行きましたが、その時はまだ『怖い絵』が出版される前。インパクトのある絵でしたが、それほど深く作品を味わった記憶がありません。

しかし、今回ルーヴル美術館で《いかさま師》に再会したときは感動の度合いが違いました。『怖い絵』を読み、登場人物の心理や画家ラ・トゥールの人生などもわかってから改めて作品を見ると、すごくドラマチックな絵に思えてきます。ずる賢そうな横眼づかいの女性は、ルーヴル美術館でも存在感抜群でした。

次はオルセー美術館へ!

オルセー美術館 (撮影:wako)

続いては、オルセー美術館で“怖い絵”探し。書籍に掲載されていた作品はなんと8点。ルーヴル美術館よりも多いです。ミレーの《落穂拾い》をはじめ、カバネル、ゴッホ、ドガなどの作品も取り上げられています。

アレクサンドル・カバネル《ヴィーナスの誕生》(撮影:wako)

オルセーの中で私にとって一番“怖い絵”は、カバネルの《ヴィーナスの誕生》。1863年のサロンで入選し、ナポレオン三世お買い上げとなった作品です。とっても美しく官能的な絵なのに、なぜ怖いの? と思いますよね。

『怖い絵 死と乙女篇』(中野京子・角川文庫)によると、当時カバネルのヌード作品に触発され裸体画が大流行したそうです。しかし、描かれたのは現実の女性とはかけ離れた美しすぎる裸体であったため「男は自分の妻や愛人の裸体とカンバスのヌードを比べ、愕然とする。女も彼我の差に改めてショックを受ける」(『怖い絵 死と乙女篇』37頁)という事態になったとのこと。

この話を知ってから、カバネルのヌード画がとても怖くなりました。あんな裸が理想だなんていわれたら、どうあがいても太刀打ちできません…。今まで漫然と見ていた裸体画も、『怖い絵』を読んで背景を知ると俄然おもしろくなります。

本作品も、日本でご覧になった方が多いと思います。2014年に国立新美術館で開かれた『オルセー美術館展』で展示されていました。やはり何度見ても、この絵は怖いです。

“怖い絵”はおもしろい!

今回、『怖い絵』をテーマに美術館めぐりをしましたが、改めてこの本はおもしろいと思いました。怖さに視点を置きながら、絵に関するさまざまな背景を掘り下げてわかりやすく解説してあるので、一枚の絵画を深く楽しく味わうことができます。

機会があれば、また『怖い絵』の掲載作品を探すアート旅をしてみたいと思います。

※オルセー美術館の写真は許可を得て掲載しています。

この記事のライター

aloreライターwako
とにかく美術館が大好きで、
都内で開かれているアート展はほぼ制覇。
ときどき海外にも出かけています。

ついでにミュージアムショップも大好きで、
ただいま限定グッズを収集中♡

趣味は散歩。
特技はドイツ語。
今は写真を勉強中です。
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