美しきARTな日々3
〜美しきARTな日本〜

白浜海洋美術館
2017年から約2年、ARTに関連する話題を綴ってきましたが、海外の美術館の話題などにこだわらず、もっと身近にある国内のARTな出来事をPick Upして書いていこうと思っている今日この頃です。
というのも、「美しい国日本」をスローガンにどこかの国の首相が昔鳴り物入りで登場しましたが、その後、東北や熊本の震災を含め様々な自然災害などが起こり、心を一つにして対処し続ける日本人像が海外からも高く評価され、形だけではない心からの賛辞を受けるようになったからです。幾度となく自然災害が重なり、それに団結して解決に向かおうとする前向きな姿は、便利になり過ぎてシニカルに傾きがちな現代社会に一石を投じたのかもしれませんね。日本人としての繊細さや細やかさも発揮されて、心から美しい日本は世界中から認められ、いまや国民そのものが芸術品のごとく高く評価され、伝統ある芸術の都パリをも凌駕し賛辞のコトバを投げかけられていますね。
1. 国内の美術館あれこれ
*白浜海洋美術館

前回の熱川の「日本仮面歴史館」に続き、観光地で出会った美術館として、今回は南房総市にある「白浜海洋美術館」を取り上げたいと思います。「火・水・木休館」となっていましたが、「日本仮面歴史館」と同じく館に事前に連絡、開館して頂きました。
漁業の町としてかつて栄えた千葉県の白浜に残る「万祝」をメインにした個人コレクターの美術館で、名誉館長柳和子さん自らの案内で白浜の漁師さんにまつわるお話を詳しく伺いました。
50年以上前に白浜をご夫婦で初めて訪れ、海女さんの羽織りものの裾に「万祝」の布が貼られているのを観て収集を始め、この地で個人美術館を54年間続けて来られたとのこと。「万祝」は藍色の地に型絵染めを施した、「入れ墨」のような色合いで粋な祝着です。現在で8000万円以上の大漁があった時に船主が「万祝」を作らせて漁師に贈り、3日3晩この祝着を着て酒盛りをしたそうです。昔は来館者も多かったそうですが、昭和30年代頃から漁師さん達も職業を変え、来館者が減ってしまったそうです。メインコレクションの「万祝」はこの房州が発祥の地で江戸時代から昭和まで太平洋沿岸づたいに焼津、岩手などの漁港にひろがり、柄も地域性があるとのこと。現在270着コレクションされ、柄は60種類あるそうです。お祝いというと鶴亀が定番ですが、漁業ということで、鯛や伊勢海老、貝など海の生物、また当時流行の関取の柄などユニークなものもありました。
完全な個人美術館というお話でしたが、建物もモダンな民芸調で、関東を中心に各美術館のフライヤーも設置してあり、最近でも「日本経済新聞」に記事として載ったばかりの本格的な美術館です。陶芸家でもあるご子息柳善夫さんが後継者として館長をされています。これから夏、房総へ来たら、海水浴と一緒に岬の突端にある灯台に隣接したこの美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。

2. インテリア&エクステリア
ウッドデッキに国内産杉を使用したシャビィシック!! なエクステリア

建築がアートであるとしたら、インテリア・エクステリアも広くアートとして捉えることができますね。
上の画像は、某国内メーカーによる飫肥杉(おびすぎ)の赤身の無垢材を使用したウッドデッキの施工例です。日本の国土の7割が森林だそうですが、エクステリアにもやはり、リーズナブルな輸入材が使われることも多いそうです。しかし、この飫肥杉は国内杉の生産高が例年第1位の宮崎県産の杉で、それに特殊加工を施し、耐久性、防蟻性、水に強い性質があります。本来、杉はささくれ立った材質で、家具・インテリアの材料として避けられがちでしたが、飫肥杉は年輪の幅が広い為、軽くて柔らかくクッション性があり、また表面を滑らかにする仕上げ加工を施した為にさわり心地もよく、夏も冬も裸足でも気持ちが良いということです。施工から半年程経つとシルバーグレーのいい色合いに変化し、錆びれた風合いが海外の利用者にも評判が良いとのメーカーさんの話でした。価格的にもリーズナブルで、国内産木材としてウッドデッキでの利用などますます需要が増えるかもしれません。先日TVの全国植樹祭あいち2019に天皇が11年振りに出席されているのも観ました。折角ある森林、国内での林業を活性化させる意気込みも感じました。夏場、戸外でバーベキューなど楽しむ季節、快適で美しい国内産木材のウッドデッキで過ごすのはいかがでしょうか。国内産木材の使用は、二酸化炭素の量を減らし、自然環境保護へと繋がるようです。

3. 夏だ!! レジャー編
*河口湖ハーブ庭園
昨年11月にオープンしたばかりの、富士河口湖にあるハーブ庭園を訪問しました。5月がハーブの見頃とのことで、梅雨の6月はこちらから見える筈の富士も今ひとつでしたが、入場無料で色々なハーブのイベントもあり、河口湖駅からも車で10分程度、一日愉しめるイベントスペースともなっています。清々しい空気と富士、そしてハーブや花々、これも一つのアートなのではないでしょうか?
4. ARTなシネマ
ヒトラー VS. ピカソ 奪われた名画のゆくえ
http://hitlervspicasso-movie.com/
今年4月19日にすでにロードショー公開されていて、当ライターはアップリンク吉祥寺で観ました。おそらく8月頃にDVD化されるのではないでしょうか?あの独裁者ヒトラーが画家を目指し、ウィーン美術アカデミーの入学試験に2度も落ちた話はあまりにも有名ですが、当時のドイツでファシズムが国内のアートにも影響を与え、互いの相互作用が少なからず圧政に影響していたことも解る恐ろしい内容です。「退廃芸術展」は美術史の中で有名ですが、「大ドイツ芸術展」が繰り返し開催されていたこと等も歴史を知る上でも重要な内容のような気がします。
5. おススメBOOK
永田町絵画館 福本 ヒデ ワニブックス ¥1,500

社会風刺コント集団ニュースペーパーの福本ヒデさんが同じくアートエバンジェリスト親善大使として活躍されています。今回初めての作品集を出版され、ワニブックスから刊行されました。ユニークなヒデさんらしい演出で記者会見が「アーツ千代田3331」で5月23日に開催され、本格的な記者会見となっていたのも愉しめました。本は真っ白な表紙に額装されたご自分の作品がずらりと並ぶ装丁で、中を開くと美術と政治をネタにした本格的な内容でした。アーチストは政治に疎いという定説のようなものもありますが、カリカチュアな為にかなり政治に詳しくないと描けないイラスト?かも…。政治に関心の薄い(自分も含めて)今の学生さんにも手に取って欲しい一冊です。私は特に「政治家かるた」に興味を持ちました。さて書店では、ワニブックス以外でどの棚に並ぶのでしょうか?

6. おススメ美術展
1. バウハウス展 2019.6.28(FRI.) 〜 9.23(MON.)
ATELIER MUJI GINZA
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/19794
2. ジュリアン・オピー 2019.7.10(WED.) 〜 9.23(MON.)
東京オペラシティアートギャラリー
http://www.operacity.jp/ag/exh223/
人物の目を点で表現することが特徴的な、イギリスを代表する現代アーティストのひとり、ジュリアン・オピーの11 年振りの日本国内での美術館個展。目が点になり、匿名性を帯びた人物が様々なシーンに登場し、コミカルな様相でアニメのようでもあります。事実オピーはアニメのファンで、浮世絵のコレクターとしても有名で、平面的な描き方や輪郭線を描く描き方など両者からの影響も観てとれます。
3. Bauhaus 100 Japan 各地
http://www.bauhaus.ac/bauhaus100/
バウハウス設立100年を祝い、日本国内でも数々のイベントが開催されます。要チェック!!
FIN.