☆未知との遭遇(アート・ブリュット)
現代アートって、やっぱわかりにくいよね・・・。そんな友人からの「一言で現代アートを説明するとしたら」という問いには、「?」「!」と答えることにしています。これはビクトール・ユーゴーが「レ・ミゼラブル」の売れ行きを出版社に尋ねるときに使ったとされる、世界で一番短い手紙として有名なもの。現代アートもそんな感じがしませんか。もちろん、こちらの使い方は相手とのキャッチボールじゃなくて、自問自答形式ですがね。
5年ほど前のこと、水戸の行きつけのワインバー壁に掛けてある横1m弱の抽象画のような絵を見て「なんだこりゃ」「うーん何を描いたんだろう、?」・・・。「でも、いいかも、!」ワインバーのマスターに「これって誰の絵、なんかいいねー」マスターいわく「障がい者の人が描いた絵なんだよ」「栃木の馬頭の方、今の那珂市の廃校になった小学校を美術館して、その人たちの絵を展示してあるんだよ、もうひとつの美術館っていうんだ」「いちど、行ってみるといいいよ」
- 木造の匂いが残る廊下
- 展示教室内
もうひとつの美術館「?!」
最初に訪ねたのは、4年前の12月初旬。ナビで登録して自宅から1時間半ほど。やっと着いたら冬季休業に入ったばかりで見られずじまい。ちゃんとホームページで確認しておけばよかったと深く反省。
今年の3月にやっと念願叶って、もうひとつの美術館に行ってきました。当然のことながら、木造の校舎。平屋のL字型で教室が6学年で4クラスぐらいでしょうか。ですから、運動場も小さくこじんまりしています。なるほど廃校を再生して使っているという風情が、建物のそこかしこに漂っています。
ギシギシいう教室に入ってびっくり。「うーん現代アート?」「こまかいなぁ」原始的な色使いだったり、モチーフの反復だったり、まさに「?」「!」の連続です。作品の多くは、キャンパスいっぱいに、隙間を嫌うかのようにモチーフで埋め尽くされています。教室の半分を分断するような、数メートルもあるまるで巻き絵ような作品も目を引きます。
この「もうひとつの美術館」を訪れた衝撃。まさに未知との遭遇でした。人に見せるためため、うまく描こうとか、有名になりたいとかではなく、ライトアップされた樹々が池に映り込む水鏡のように、描き手の感情そのものが転写されています。ここを足がかりに、遅ればせながらアート・ブリット or アートアウトサイダーという分野&言葉を知るきっかけとなり、追いかけてみたいという感情が込み上げてきました。
というわけで、日本全国のアート・ブリットの美術館を1年かけて?みてある記ます。次回は、もう一度「もうひとつの美術館」をレポートします。