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美しきARTな日々6 〜 ARTから世界を視る 〜

美しきARTな日々6 〜 ARTから世界を視る 〜

美しきARTな日々6
〜ARTから世界を視る〜
つぶやき

今年の夏は、終戦記念日を挟んだ期間、第二次世界大戦、ヒトラー、広島長崎の被爆体験などに関連した美術展や映画が例年より多く見られた気がします。9月に入っても、まだ愛知トリエンナーレの問題が変わらず話題となるなど、ARTの世界に政治が影響を与えたり、現在懸念されている経済不況や高齢化社会を向える日本の暗い側面が社会全体に影をさしている感じもします。来年はいよいよ東京オリンピック、華麗なスポーツの祭典である反面、戦争や紛争の続く世界情勢の煽りを日本も受けざるを得ない状況に巻き込まれていくこともあるのかもしれません…イスラエルとの直行便も就航されるようです。

メスキータ展
東京ステーションギャラリー

1.紛争地域の美術館

日本は島国な為に大陸特に欧米の事情から地理的にも遠く孤立した感じが昔からあります。たとえ英語をはじめとして語学が堪能であっても、どこか他人事のように思えてしまう、欧米の事情。人種の差、無宗教であることなど地理的事情以外にも理由は色々あると思いますが、ARTの世界は音楽と同じように「心で感じる世界」で、美術や音楽は世界の人と分かち合える共通言語です。これまで日本からみて海外の美術といえば、欧米が中心と考えられていましたが、現在では、ヴェネチアトリエンナーレのようなアートフェスティバルが世界各地で開催されるようになり、アジアやアフリカの美術の企画展も開催されるようになり、世界中の美術に触れることができるようになりました。森美術館は2017年に「サンシャワー:東南アジアの現代美術展」を開催、また都内の先鋭的な現代アートギャラリーでは数年前から中南米やアフリカ、東南アジアの作家の作品展示を行っているようです。インターネットの普及で、国際間でも情報のやりとりが加速、それによって世界が均一化、世界各地の情報がどこにいても選びさえすれば手に入る、そのような時代になりました。そのことは、先進諸国からと同等に後進国の影響も受けざるを得ない状態に置かれて行くことにもなりますね。
美術がテーマのブログなので、美術に限定して世界を眺めてみようと思います。

パレスティニアン・ミュージアム   パレスティナ


上の絵は手描きで汚ないのですが、2016年にパレスティナにオープンした「パレスティニアン・ミュージアム」です。このような地域にも現代アートの美術館が建設されています。いずれはエルサレムに建設したいという意向があるようです。また、1995年に紛争が解決したボスニアヘルツェゴビナにも「国立ボスニアヘルツェゴビナ美術館」や新しく「アルス・アエヴィ現代美術館」、「戦争の中の子ども博物館」などが建設されています。「アルス・アエヴィ現代美術館」は設計がレンゾ ピアノで、この国が元より先進諸国ヨーロッパの一員であることを感じさせます。また「戦争の中の子ども博物館」はHPの表紙があのバンクシーのようです。
美術も美術館の建物にも興味がある私は世界各地にある美術館そのものにやはり興味が湧いてしまいます。しかし、世界遺産にしてもあのイランイラク戦争の時、また最近でもシリアの「パルミラ遺跡」がテロによって破壊されたりしていますし、数年前はチュニジアの「バルドー美術館」がテロに襲撃され、日本人3人を含む観光客22人が犠牲になりました。のんびりと美術鑑賞もできない物騒な世界情勢。

2.ウッドストック 〜 伝説の音楽フェス全記録 〜を観て

9月3、4日とNHK BS1でこの番組を放送していましたね。私は小学生でしたが、ベトナム戦争を背景にしたアメリカの「LOVE & PEACE」のヒッピームーヴメントの象徴だったこの音楽イベントは記憶に残っています。おそらくアップルの創業者スティーヴ ジョブス氏もこの時代の方だったのではないでしょうか。ベトナム戦争が終結後、「ジョニーは戦場へ行った」という戦争によって両手両足、視覚、そして声や顔すらも失った帰還兵を主人公とした哀しい映画も観ました。ベトナム戦争の帰還兵はトラウマを抱え、病院で辛い人生を送ったりもしたようです。このような時代にウッドストックに屯するヒッピーやスティーヴ ジョブス氏も傾倒したのが、日本の「禅」の修行だそうです。「禅」は小乗仏教の一つで、他に大乗仏教というのが日本に伝わりましたが、ひたすら個人の内面の感性の修行をするのが小乗仏教の「禅」です。現在もアメリカ西海岸を中心に禅の修行を続ける人々も多くいるようです。また、少し話がずれますが、フランスのアーチスト、イヴ・クラインは柔道の有段者として有名で、1952年に日本に訪れた際、当時欧米人として最高位の4段を取得したようです。また、藤田嗣治は1932年、中南米メキシコを訪れた際に、壁画運動のディエゴ・リベラの作品に出会い深く感銘を受けたようです。政治や思想がアーチストに感銘を与え、制作に影響を与える例も数多く見受けます。「美術」と「禅」の関連書籍は多数出版されてもいるようです。

3.少しだけ「禅」の話

9月に伊豆に行き、「済廣禅寺」という面白い禅宗のお寺に巡り逢いました。最寄り駅にほとんど観光名所のない町なのですが、案内図に誘われて訪れてみると現代アートのように仏像が展示されているお寺があり、ビルマの仏像や記念館があり、入館して説明を聴きました。そのあとで、「不動消災の道」という真っ暗闇の中を歩く体験をしました。入り口からすぐにお化け屋敷より暗い全く光のない闇の道を歩くのですが、途中お不動様があり、そこから間もなく出口へ向かいます。お寺の方によると、目の見えない盲人の体験をして見えることの有り難さに感謝するということでした。見えないので連れと手を繋ぐこともあるし、見えるということが素晴らしいことなのだと実感することもできた貴重な体験でした。このような「不動消災」の道は京都の清水寺などにもあるそうです。

済廣禅寺
済廣禅寺にて 当ライター

また、当ブログで何度も書いていますが、ボランティアをしている「平櫛田中彫刻美術館」ですが、田中さんは岡山から上京し、上野に住んだ当時、禅の臨済宗の西山禾山という僧侶に出会い、3年間通い続け、作品制作に強い影響を受けたとのこと。「禾山笑」などの像も彫っています。
また、茶道と「禅」も深い繋がりがあると言われていて、今後調べてみたい項目の一つでもあります。

4. 最後に

なんとなく美術のことを考えていて思い付くまま書いてしまいましたが、「美術」や「美術館」を守る為に世界平和を願う、ということもあるような気がします。また、たとえ普段あまり美術に接することもなく、美術館へ足を運ぶこともない方達でも、テロによる文化遺産の破壊、戦争のことや国際政治への興味が、美術や世界遺産について考えるきっかけになるかもしれません。今や美術館、ギャラリーは一部の人だけに開かれた限られた空間ではないのですから。

5.行きたいアートスポット

*迎賓館赤坂離宮、別館「遊心亭」

離宮本館の建物はもちろん予約制でしか入場できない和風別館や庭園も美しい赤坂離宮。ツアーガイドが同行する形式で入館可能な別館「遊心亭」の庭園は岩城宣太郎作庭で禅庭のようなシンプルな美しさ。他に平櫛田中彫刻美術館邸宅(記念館)の前庭、坪庭etc.の作庭家として有名で、紅葉のこの時期にぜひ訪れたい数々の作品が全国各地に残っています。

迎賓館赤坂離宮
迎賓館赤坂離宮本館

*庭園も楽しめるアートスポット&企画展

1) 原美術館(品川)
加藤泉 ーLIKA A ROLLING SNOWBALL  〜2020.01.13
https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/701/

2) 東京都庭園美術館 
アジアのイメージ 2019.10.12(SAT.)〜2020.01.13(MON.)
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/191012-200113_ImagesofAsia.html

3) 柴又帝釈天庭園
https://oniwa.garden/shibamata-taishakuten-suikeien-garden-%E6%9F%B4%E5%8F%88%E5%B8%9D%E9%87%88%E5%A4%A9-%E9%82%83%E6%B8%93%E5%9C%92/

4)ポーラ美術館
シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート〜2019.12.01(SAT)
https://www.polamuseum.or.jp/

6.お知らせ

*当ライター@新井隆子による<A.Gallery>は只今休店中です。

*リサイクルハンドメイドの<atelier Pluie de Couleur>は当初のオブジェ制作から絵画制作も始めています。<minne>のサイト等に随時アップする予定です。ご興味のある方はぜひ御高覧下さいませ。
↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓
https://minne.com/@voyageurtk

訂正とお詫び
前回「美しきARTな日々5 〜和の精鋭1〜」の「豊島区新庁舎」の内容で、「豊島区役所となる階層部分の外壁は緑の植樹..」とありますが、フェイクグリーンを使用されています。誤った内容でお詫び申し上げます。

 

fin.

この記事のライター

aloreライター@新井隆子
子供の頃に家が城下町にあった為、近所にお堀のある公園、その中に城跡や県立美術館があり、美術館好きになりました。中学の頃からNHK日曜美術館ファン。
’70 大阪万博の時、岡本太郎の『太陽の塔』の前の特設ステージで開催されたアジア少年少女合唱際に参加、歌ったことも想い出の一つです。
昔、大学で(社会)心理学、その後インテリア、建築を学び「コワイ」と言われても元から「美術」&「心理学」が好き。

年齢/昭和3?年戌年生まれ。
職業/主婦。ブログライター、リサイクル雑貨アーチスト(1992年頃からatelier Pluie de Couleurを設営)。過去、公民館生涯学習部、手作り教室等で講師の経験があります。

*ハンドメイドのオリジナルブランド”atlier Pluie de Couleur” 公開中。
*リトグラフ、古伊万里、鉄瓶のWEBSHOP <A.Gallery>経営中。

趣味/美術館、ギャラリー巡り。地方の隠れ家美術館の発掘。料理。旅行。ピアノ演奏。映画鑑賞。
資格/英語検定2級。美術検定2級。アートエバンジェリスト認証。
家族/既婚。夫婦+息子1人+トイプードル

都会の心のオアシス「美術館」
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