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美しきARTな日々7 〜シニアチャレンジャー〜

美しきARTな日々7
〜シニアチャレンジャー〜

JR根府川駅
根府川駅

上の画像はJR東海道線の無人駅「根府川駅」の光景です。小田原から熱海に向かう途中の駅で、ホームからも美しい海の景観が望めます。海が好きで伊豆は良く出かける為、根府川近隣にも以前旅行したりして知っていました。熱海や伊東などから離れた人口が少ない観光地化されていない豊かに海の広がる地域です。
最近でも「ぶらぶら美術館」等で紹介された後で、ご存知の方も多いとは思いますが、この駅を最寄り駅とした海岸沿いに杉本博司氏による「江の浦測候所」があります。杉本氏は現代美術家としても2008年に建築設計事務所「新素材研究所」を設立、熱海のMOA美術館の改装時に設計を担当されたり、2009年には小田原文化財団を設立、2010年には秋の紫綬褒章受賞等国内外での写真家以外での活躍も素晴らしく、現在新国立美術館で開催されている「カルティエ、時の結晶」展の会場構成を担当されるなど、「時の人」といえるかもしれません。
子供の頃に江の浦を走る東海道線から見た海の光景が写真作品「海景」シリーズの原点となっているそうで、その原点の地に「江の浦測候所」を創ったということもテレビで併せて知りました。
同じ伊豆半島の稲取などは、江戸時代築城の際の石丁場としても有数の地で、また伊豆半島ジオパークはユネスコに認定された世界遺産で2000万年前は海底にあった火山だったそうで、様々な自然の見所があります。

江の浦測候所
待合棟
江の浦測候所


山や畑を切り開いて建設された測候所の所々に展示室や舞台などが点在し、室町時代の「明月門」から5億年前の化石が展示された「化石窟」、19世紀のフランスの旧家の石の階段まで、時空をこえた様々な石や岩がテーマ毎に展示されています。平安、室町時代の岩石や千利休の「待庵」を模写した茶室「雨聴天(うちょうてん?)」など命名もユニークな茶室もあり、財団の石のコレクションと共に、その渋い落ち着いた全体の色調は、黒沢明監督の映画や「能」舞台の幽玄なワンシーンをみているようでドラマチック。
測候所訪問時、ちょうどアーティスト ティノ・セーガル氏の作品展がスタートし、海を背景にした詩的なダンスを見ることが出来ました。撮影は不可とのことでしたのでUPできませんが、「野点席」で開催された、自然や海を背景にした男女二人のダンサーの身体の動きや静かな歌声がしなやかな海のうねりのようで、来館者と風、飛ぶ鳥以外誰もいない閉じられたこの場所でしか実現不可能な極限的な静けさに満ちた作品。ティノ・セーガル氏本人もいらっしゃったと当日お聞きし、惜しくもインタビューは逃しましたが、杉本氏の「海景」シリーズにも底通する無我の心象風景を表現したダンスを観ることができ、訪問した意味も倍増。
この測候所も自然も美しく、機会があれば、2度3度足を運びたい場所でした。

光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席
光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席
江の浦測候所

*没後40年平櫛田中 ー美の軌跡ー

昨年から東京小平市にある平櫛田中彫刻美術館でボランティアとして参加していますが、田中氏の出身地岡山県井原市で井原市立田中美術館の開館50周年記念特別展『没後40年平櫛田中 美の軌跡』があり、ボランティア研修旅行ということで数人の方が式典に参加されました。岡山は大原美術館や美観地区、また今年は瀬戸内国際芸術祭もありアートが盛んな所で、「井原市立田中美術館」も以前から町起こしにも協力、公立美術館として有名なようです。展示も建物も評判が良く、今回是非同行したかったのですが、怪我などの為不参加となり残念でした。来年12月からリニューアル工事に入りしばし休館とのことで、この企画展のうちがおススメとの小平市の館長でお孫さん弘子さんのお話です。招待された館長に記念式典の画像をお借りしました。

井原市立田中美術館
没後40年平櫛田中 ー美の軌跡ー
井原市立田中美術館
平櫛弘子さんと市役所の方々に寄るテープカット
開館50周年記念式典


何度も書いていますが、田中氏はおよそ一世紀に渡り日本近代彫刻史に大きな足跡を残した彫刻家として平櫛田中賞が彫刻界に設けられるなど、日本の彫刻界の巨匠です。ロダンが近代彫刻を代表する彫刻家である特徴とは一線をかくした、静かな佇まいの作品で、近代日本の彫刻家が殆どロダンの影響を受けていることとは異なり、江戸時代からの生き人形制作から学んだ独特の作風です。彫られた人の表情がアニメのようだったり、愛らしかったり、現代でも生き生きとした表情が共感を呼びます。代表作「鏡獅子」は昭和11年に制作を開始し戦争を挟んで完成したのが昭和33年と実に22年の歳月をかけて制作されています。また彫刻家として50歳位までは貧しい生活が続き、その中でお子様を亡くされたりなど、作品制作にかける執念のようなものも感じられます。25歳で上京した際、湯島にいた臨済宗の僧侶の元に3年間通ったことで、作品や書、また、98歳の時に建てた小平の邸宅の造り(書院造り)などに思想的な影響を見ることができます。修行のような107年の人生そのものがドラマティック、98歳で建てた小平の邸宅の表庭には15年後が彫り時と云われ購入した樹齢500年の楠が展示してあります。侍がいた時代の影響を受け、昭和まで活躍した世界最長老のアーティストです。

*行きたい美術展

カルティエ、時の結晶 〜2019.12.16(MON) 国立新美術館
https://www.nact.jp/exhibition_special/2019/cartier2019/

バスキア展 〜2019.11.17(SUN)森アーツセンターギャラリー
https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/basquiat/

コートールド美術館展 〜2019.1.15(SUN) 東京都美術館
https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_courtauld.html

*TOPIC

1) 上記の井原市立田中美術館特別展「没後40年 平櫛田中 美の軌跡」がNHK教育「新日曜美術館」本編で10月27日午前9時から45分放映されました。小平市平櫛田中彫刻美術館館長も取材を受けられています。尚、11月3日(日)午後8:00〜8.45に再放送されます。

*お知らせ

1) @新井隆子の骨董、リトグラフの<A.Gallery>は、現在引き続き、休店中です。再開時に宜しくお願い致します。

2) 同じくハンドメイドブランド<atelier Pluie de Couleur>は下記から参照できます。ご来店をお待ちしております。

◎ハンドメイドminne
https://minne.com/@voyageurtk

◎facebook
https://www.facebook.com/Atelier-Pluie-de-Couleur-183959572185878/?ref=bookmarks

 

fin.

この記事のライター

aloreライター@新井隆子
子供の頃に家が城下町にあった為、近所にお堀のある公園、その中に城跡や県立美術館があり、美術館好きになりました。中学の頃からNHK日曜美術館ファン。
’70 大阪万博の時、岡本太郎の『太陽の塔』の前の特設ステージで開催されたアジア少年少女合唱際に参加、歌ったことも想い出の一つです。
昔、大学で(社会)心理学、その後インテリア、建築を学び「コワイ」と言われても元から「美術」&「心理学」が好き。

年齢/昭和3?年戌年生まれ。
職業/主婦。ブログライター、リサイクル雑貨アーチスト(1992年頃からatelier Pluie de Couleurを設営)。過去、公民館生涯学習部、手作り教室等で講師の経験があります。

*ハンドメイドのオリジナルブランド”atlier Pluie de Couleur” 公開中。
*リトグラフ、古伊万里、鉄瓶のWEBSHOP <A.Gallery>経営中。

趣味/美術館、ギャラリー巡り。地方の隠れ家美術館の発掘。料理。旅行。ピアノ演奏。映画鑑賞。
資格/英語検定2級。美術検定2級。アートエバンジェリスト認証。
家族/既婚。夫婦+息子1人+トイプードル

都会の心のオアシス「美術館」
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